<連載「気になリスト」(48)>

 お笑いタレント、キンタロー。(31)が、スギちゃん(39)の脅威になってきた。「4頭身」とも言われる特徴的な外見とキレのあるダンスで繰り出す元AKB48前田敦子(21)のものまねが受けて、一気にブレーク。22日にはTBS系「火曜曲!」でAKB48とも共演を果たし、ピン芸人NO・1を決める「R-1ぐらんぷり」でも勝ち進んでいる。その勢いに、各方面で「もうすぐスギちゃんを抜く」の声が…。大注目の彼女を直撃した。

 目の前に「顔の大きい前田敦子」が現れた。「フライングゲット」を歌い、踊った。泣き顔、高い声も似ている。短い手足を目いっぱい使う踊りは妙にキレがある。理由は「大学から社交ダンスをしていましたから」だった。

 大学在学中に吉本興業の「金の卵」オーディションに合格したが、ダンスに専念すると決めて辞退。3年生で全国大会(サンバの部)4位になり、卒業後はダンス講師に。一方でお笑いも捨てきれなかった。「結婚式で余興をしていました。唯一、気持ちを表現できる場所でした」。

 11年春、転機が訪れた。いつものように結婚式を盛り上げていると、大学の先輩から「まだこんなところにいるんか。お前はこんなところにいる人間じゃない」と一喝された。すぐにネットでオーディションを検索。画面の一番上にあったのが松竹芸能。「キンタロー。」が産声を上げた。

 デビュー当時は光浦靖子のものまねが中心だった。ただ、上京前に喫茶店でアルバイトをしている時、客から「君、だいぶ残念だね。でも、惜しい。ちょっとだけAKBのセンターの子に似てる」と言われたことが頭に残っていた。

 「いつか、あっちゃんのものまねをやりたい…。でも、ファンの人が怖そうだからな…」と迷っていたが、昨年3月に前田がAKB48からの卒業を発表し、「やるなら今しかない」と決断した。毎日4時間、動画サイト「YouTube」で前田の動きを研究した。自宅は5畳一間(家賃5万5000円)と狭く、踊りは近所の公園で練習した。近隣住民から怪しまれる日々が続いた。

 昨年5月、ライブで初披露して以降、前田のものまねは揺るぎない持ちネタになった。同12月、フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした~細かすぎるモノマネ選手権~」で優勝。1ケタだったブログのコメントは数千件になった。前田ファンからの批判もあったが、「先日、出演した番組で中尾ミエさんから『全員(に好かれるのは)は無理よ』って言われて楽になりました」。

 22日放送のTBS系「火曜曲!」では、「フライングゲット」でセンターを務め、AKB48メンバーからも絶賛された。27日には、東京と大阪で計54人のピン芸人による「R-1ぐらんぷり」準決勝で、スギちゃんとも初めて顔を合わせる。「これ以上ないチャンス。目標は優勝です。決勝進出を『フライングゲット』したいです」。2013年をキンタロー。の年にするべく、勝負に出る。【横山慧】

 ◆キンタロー。

 1981年(昭56)10月24日、愛知県生まれ。関西外国語大卒後、不動産事務などのOL生活をへて、11年上京。名前の由来は「いまだに男社会と言われるお笑いの世界で、負けたくないという意気込みを込めて」。前田の他にも光浦靖子、武井咲、壇蜜、アンジェリーナ・ジョリー、AKB48の大島優子、北原里英などのレパートリーがある。152.5センチ、血液型B。(1月24日付

 紙面から)