<連載「気になリスト」(番外編)>

 超遅咲きのシンデレラガールが現れた。なつみ(31)。23歳で芸能界入りして8年。芽が出ず、最後のつもりで臨んだ昨年のテレビ朝日系「ガールズトーク~十人のシスターたち~」のオーディションに合格。教会を訪れる女性の過激な相談内容を「彼とセックスするの、やめてみたら?」などと、淡々とアドバイスする演技力が高く評価され、仕事のオファーが殺到している。

 7年間に挑戦したオーディションの数は500を超す。ことごとく落ちて、女優の仕事はなかった。カタログやウェブ、雑誌、スチールなどの仕事をほそぼそとこなした。生活するために、アルバイトは欠かせず、事務、テレホンアポインター、映画館のもぎり、立ち飲み店など何でもやった。「仕事を決められない。年齢もいく。鳴かず飛ばずで。自信も全くありませんでした」。30歳になり、アルバイト先のトイレを掃除していた時、芸能活動をやめることを考えたという。「ボロボロの雑巾で汚れた便器を洗っていると、切ないんです。人生崖っぷちだなって」。

 そう思い悩んでいた時、放送作家の鈴木おさむ氏が手掛けた「ガールズ-」のオーディションに合格した。「身長が高くてキャリアウーマン風」という制作側の意向に合致したこともあるが、決め手は「芝居ができたこと」だったという。「ミラクルって本当に起きるんやな」と、関西弁で感慨深げに語った。

 ミラクルは続いた。今年に入り前事務所が閉鎖する不運に見舞われたが、2週間後には新事務所と契約。演技力が評価され、フジテレビ系「リッチマン、プアウーマンSP」にも石原さとみの先輩役で出演。新たなドラマ出演も内定した。ドラマ、CM、ファッション誌など仕事のオファーは今、20を超える。

 31歳でようやくつかんだビッグチャンス。事務所関係者が「30を過ぎたら、モデルの世界はまず無理。女優でも難しい。でも、彼女は自分の力でつかんだ」と目を細めると、なつみは「細い光が来た感じです。もっと仕事がしたいです」とさらに意欲を示した。【山田準】

 ◆なつみ

 1981年(昭56)8月10日、大阪生まれ。中学時代は陸上部で、走り高跳びで大阪大会優勝。自己ベストは1メートル67センチ。大学卒業後、モデルを目指して23歳で上京。昨年10月からテレビ朝日系「ガールズトーク~十人のシスターたち~」にレギュラー出演して脚光を浴びる。趣味は絵、散歩、特技は書道(7段)英語(英検準2級)。171センチ、B77-W59-H85センチ。血液型O。(4月15日付

 紙面から)