今年1月3日にがんで死去したやしきたかじんさん(享年64)の闘病生活を描いた作家百田尚樹氏(58)のノンフィクション「殉愛」(幻冬舎)の出版差し止めと損害賠償を求める訴えを21日、たかじんさんの長女(41)が東京地裁に起こした。

 百田氏は、たかじんさんと亡くなる3カ月前の昨年10月、再婚した32歳年下の妻、家鋪さくらさん(33)の証言や、残されたたかじんさんの日記、300時間以上に及ぶ医師団、看護師ら関係者の取材などを基に、今月に出版した。「永遠の0」「海賊とよばれた男」の百田氏が、たかじんさんの秘話に迫った注目作として、初版は25万部と最近の出版物としては異例の刷り部数を記録した。

 しかし、たかじんさんと元妻の間に生まれた長女側は「再婚した妻の話を無批判に受け入れた内容。原告(長女)をはじめとした親族に取材して事実確認をしようとしなかった」と主張。長女がたかじんさんに金を無心するなど、確執があったように書かれているとして「事実に反した内容で父親への思いや名誉を傷つけられた」と訴え、発行元の幻冬舎に出版差し止めと1100万円の損害賠償などを求めた。幻冬舎は「担当者がおらずコメントできない」としている。