「干物女」という流行語を生んだ人気ドラマの映画版「ホタルノヒカリ」(吉野洋監督、12年初夏公開予定)のロケが29日イタリア・ローマでクランクインし、主演の女優綾瀬はるか(26)がウエディングドレス姿を披露した。今回は綾瀬演じるホタルと、俳優藤木直人(39)演じる夫の“ぶちょお”が新婚旅行でローマに行く物語で、ベスパに乗って市内を疾走するなど名画「ローマの休日」(53年公開)をほうふつとさせるラブストーリーを熱演している。

 雲1つない真っ青なローマの空の下、ウエディングドレス姿の綾瀬とタキシード姿の藤木が乗ったベスパがコロッセオを背に軽快に走った。トラックにけん引されるベスパに乗った2人を見て、世界各国の観光客がこぞってカメラを向けた。この日の気温は35度。ローマ在住のスタッフが「ここ10数年、9月以降にこんなに暑いことはない」と驚くほどで、綾瀬は「日光が痛い。雲がないし光が刺激的」と驚いた。

 綾瀬は3回目、藤木は2回目のローマだ。綾瀬はテレビシリーズおなじみの縁側から、イタリア・ローマへグレードアップしたことに「ちょっとかけ離れてますね。ドラマと違って、ポンッと旅行に来た感じ」と笑った。藤木も「イタリア人スタッフが増え『ホタル』の現場じゃないみたい。外国の方と仕事しているのが不思議」と笑った。

 作品はベスパや、オードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックそっくりの衣装など、「ローマの休日」へのオマージュを感じさせる。ベスパは当時を知る現地在住の人に聞き、映画で使用したのとまったく同じ52年製の「ベスパ・ファーロ・バッソ

 モデル53」サンドカラーを手配した。

 ローマ市内の世界的な観光名所でも、観光客の多い時間帯を避けて早朝から撮影した。トレビの泉では午前7時から、11月末くらいの寒さの中で、カットのたびに毛布をかぶって撮影。スペイン広場では同8時から、綾瀬が縁側シーン恒例の「ゴロゴロ」に挑戦。スタッフ特製のサポーターを身につけ、階段を転げ落ち「痛~い!」と叫ぶ中、日本人観光客が歓声を上げた。

 綾瀬は「ドラマにも劣らない、ホタルと部長のテンポのいいやりとりが大事。干物女はグータラしてるけど、自分の大事なことを大事にするという部分を出せたら。ほどよく、はっちゃけながら演じたいです」と力を込めた。【村上幸将】

 ◆ホタルノヒカリ

 職場でしっかり者なのに、私生活はぐうたらな干物女・雨宮蛍(綾瀬)は、高野部長(藤木)と一軒家で同居し、心地よい縁側で忘れかけていた恋心を取り戻し結婚した。映画ではホタルが、部長の夢が「愛する人とローマの休日」と聞き、初の海外&新婚旅行でローマ行きを決意する。日本テレビ系で07年7月に放送された1は平均視聴率13・7%、最高17・3%、10年7月に放送された2は平均15・5%、最高17・4%(ともに関東地区)を記録した。