V6岡田准一(32)が時代劇映画で居合(抜刀術)に初挑戦することが10日、分かった。役所広司(57)が主演する「蜩ノ記(ひぐらしのき)」(小泉尭史監督、来年公開予定)で、事件を起こして幽閉された主人公の監視を命じられた侍を演じる。立ち回りの場面もあり、4月の撮影開始に向けて居合の稽古も始めている。

 「蜩ノ記」の原作は、作家葉室麟氏の同名小説で、11年に直木賞を受賞した話題作。前藩主の側室と不義密通の末、家臣を切り捨てたという罪で幽閉された主人公の元奉行を役所が演じる。岡田は、切腹を命じられた元奉行の監視を家老から命じられた侍を演じる。切腹するまでの3年間、家譜(藩史)を編さんする元奉行の姿を見つめていくうちに、その泰然自若とした態度や覚悟に感銘を受け、師弟関係のようなものが芽生えていくという内容だ。

 岡田は、映画冒頭から本格的な殺陣を披露する予定で、撮影に備え、昨年冬から居合の稽古を始めているという。以前からドラマや映画のアクションシーン撮影のために、フィリピン武術カリのインストラクター資格を得るほど格闘技の訓練も積んでおり、居合の稽古にもその素養が生かされている。稽古場に同行している小泉監督は「道場の門下生をどんどん抜いていくほど上達している」と驚いている。同監督によると、居合の先生に「普通は1週間かかるところを1時間で覚えてしまう。これから教えるのが楽しみ」と言われるほどのみ込みが早いという。

 岡田はこれまでにも時代劇映画に出演している。06年「花よりもなほ」では父のあだ討ちのために江戸に出てきた侍、12年「天地明察」では天文暦学者を演じてきたが、今回はこれまで以上に本格的な立ち回りの場面が登場しそうだ。

 岡田は、役所との共演に感激している。「子供のころからファンでもある役所さんと初めて共演させていただけることは、うれしくもあり楽しみ」と話しており、クランクインが待ち切れない様子だ。これに対して役所も「初めてご一緒する岡田准一さんとの仕事、楽しみです」としている。役所も馬術を一からやり直すなど、役づくりに励んでいる。

 岡田演じる侍と恋仲になる主人公の娘を堀北真希(24)、主人公の妻を原田美枝子(54)が演じる。

 ◆「蜩ノ記」

 城内で刃傷沙汰を起こした檀野庄三郎(岡田准一)は、罪を逃れる代わりに、家老から戸田秋谷(役所広司)を3年間、監視するよう命じられる。秋谷は7年前に側室と不義密通をした上、気付いた家臣を切り捨てる事件を起こしたとして、罰として家譜の編さんと10年後の切腹を言い渡されていた。切腹まで3年を切っても、淡々と使命をまっとうする秋谷や支える妻、娘に感銘を受ける庄三郎は、7年前の事件の真相を探り始める。