民主党の公認ゆるキャラとして活動してきた民主くんが25日、民主党代表として最後の定例会見に臨んだ岡田克也代表に、思いのたけを記した色紙を託した。 岡田氏の会見後、会見場に入ってきた民主くん。岡田氏から花束を渡され、「民主くん、ありがとう」と労をねぎらわれた。自身も、一枚の色紙を岡田氏に渡した。色紙には「新しい歴史に漕ぎ出せ仲間たちよ 我ら思う 故に我ら在り」と書かれていた。

 このフレーズは、人気グループの氣志團が、出会いと別れ、旅立ちをテーマに歌った「我ら思う 故に我ら在り」という曲の一節。民主くんは、民主党が維新の党との合流方針を了承した先月下旬、自身のツイッターでも同じフレーズを記し、「この曲の歌詞を今の自分に重ね合わせてしまいます」と記した。党の新たな旅立ちに対する、複雑な胸中だったのか。

 そんな民主くんの感傷的な気持ちを知ってか知らずか、岡田氏は色紙を読むと「意味がわからない…」と苦笑い。さらに「(色紙に記された)『仲間たち』には、民主くんは入っていないんだよね」と、本気とも冗談ともつかない、ジャブを浴びせた。

 民維両党の合流に伴い、党公認ゆるキャラの座を降りることだけは決まっている民主くん。ゆるキャラから、立場までユルくなる。複雑な思いはのみこんで?、岡田氏と笑顔で記念撮影に臨んだ。

 民主くんは07年に非公認キャラとして誕生し、昨年夏、悲願の党公認を獲得した。「雇い主」である党が絡んだ野党結集の流れにのみこまれる形で、再び非公認の立場に戻る。選挙戦の街頭や党のイベントで、ジミ~に活動してきたが、ここ1カ月ほどの間に「解雇&失業危機」の可能性が浮上してからは、新党問題の1つの「象徴」として、一般紙を含めて多くのメディアで取りあげられた。ツイッターには、声援も相次いだ。

 25日、岡田氏が40分近く記者会見をした後、民主くんが会場に入ってくると、記者やカメラマンの注目は、一気に民主くんにシフト。岡田氏は「今まで(会見で)話したことより、(報道されるのは)こちらになるんじゃないの」。話題の「主役」を持って行かれることを観念して、トホホな笑いを浮かべた。

 1998年から約18年続いてきた民主党は、現在の形での活動を終えた。27日に、維新の党といっしょになり、民進党として1歩を踏み出す。民主くんの胸に就いている布の名札の裏は、白いままだった。名札を裏返して、新しい名前を書いて、さて次は、どこに現れるのだろう。