2020年東京五輪のボート、カヌー・スプリント会場の見直し問題で、東京都の小池百合子知事の「辞退」発言に反発し、彩湖誘致を正式に開始した埼玉県の上田清司知事が19日、都内で行われた関東地方知事会に出席し“和解”をアピールした。知事会終了後、両者は報道陣の前で握手を交わした。その後の会見で上田氏は、知事会前に小池氏と千葉、神奈川県知事を含めた4者で昼食会を開いたことを明かした。以下、上田氏の会見内容。

 -小池氏とは話をされたか

 上田氏 神奈川、千葉、埼玉、東京都の知事でお昼ご飯を食べた。

 -ボート会場の話はしたか

 上田氏 いろんな話の中ではあるかもしれませんが、今言われているように、あそこがこうだという話はしていません。

 -都政改革本部の上山信一特別顧問はボート場を一から造る彩湖は時間的に難しいと言っている

 上田氏 全体の時間軸をどう見るか。基本的には遅れていることは事実。早速、プロジェクトチームをつくってデータを整理して、東京都、組織委員会に提案させていただいて、選択肢を見ていただき、考えていただく。それぞれ長所があり、短所がある。総合的に判断していただこうということです。

 -彩湖は国土交通省の調整池ということで恒久施設の建設が難しく、レガシーになりにくいとの指摘がある

 上田氏 何を持ってレガシーなのか。形なのか、それとも選手なのか。いろいろあると思っている。選手、世界の人たちが満足し、五輪・パラリンピックを楽しみにしている日本国民、世界の人たちが喜んでもらえるか、総合的に考えることであって、施設が残るか残らないかだけではないのでは。施設を物事の中心として考えていけば、より立派なもの、より長持ちするものという話になり、よりお金がかかって来るので一概にレガシーは形だけではない。

 -都の試算558億円と県ボート協会の試算90億円では468億円の開きがあるが、その差についてどう思うか

 上田氏 正確に埼玉ボート協会が試算された詳細なデータをまだいただいてない。ボート協会がどのような形で試算されたかを確認してない。県は技術者集団を構成して今日から始めている。国交省のデータもいただき、相談しなければならない。ボート協会とはまた違った形のデータが構成されると思っている。

 -小池知事は今月内に判断すると言っているが、間に合うか

 上田氏 間に合うようにする。

 -東京都、都政改革本部に対し、いつまでに資料を出したり、アクションを起こしたいか

 上田氏 今週(調査)スタートですので、来週までにどれぐらいの概算が出せるか分かりませんが、めどが立ったところで中間報告し、細かい数字を必要に応じて出していくことになる。

 -小池知事は要請があれば現地視察も行うと言っていたが、呼ぶ予定はあるか

 上田氏 データを用意して選択肢の1つとして考えれば当然そうなさるでしょうから、その時はしっかりご案内させていただく。

 -上田知事の方から小池知事に会う予定は

 上田氏 基本的には小池知事も自分の考え方は分かっておりますので、思いを伝えるという話ではないと思う。

 -韓国が候補地に挙がっている

 上田氏 何で出てきたのか分かりませんが、日本の五輪ですから論外じゃないですか。

 -小池知事が酒席での発言を上田知事の考えとして記者会見で話したことについて、昼食会ではどのようなやりとりがあったか

 上田氏 お互いに大人の対応です。深追いはしない。ニュアンスの差がありますからね。埼玉県に4つの会場があって、大変ありがたい種目。国際的に人気があるサッカーだ、バスケットだと。射撃は一般的ではないが参加国だけは多い。いろんな面で恵まれてるという話をした中で、たまたま、小池知事も当時、埼玉に4つあることを知りませんでしたし、そのことで極めて埼玉県が満足的であると感じられたのでは。(記者会見では)そのニュアンスをお伝えされた、と。私たちは、こうした恵まれた環境があることは事実ですけど、最後まで彩湖は選択肢の1つに残っていたわけですから、見直しをされるんだったら、見直しの対象にされるべきだという考え方をしっかりお伝えするということです。

 -彩湖は国の所管だが、基本的に恒久のボート場建設は難しいのか

 上田氏 国交省の考え方が大きいと思う。仮設、恒久の部分が分けられるのか、国交省の技術陣、私どもの技術メンバーが検証結果を出して、あとは政治リーダーが決める話になる。

 -国交省と試算を出されるとのことだが、試算の要請は正式にしたのか

 上田氏 はい。基礎的な国交省が持っているデータについては要請しております。他にもデータが必要なところがあれば要請します。例えば国土地理院とか。

 -上田知事のスタンス、熱意はどうか。宮城県の村井嘉浩知事と比べて熱意がどれほどのものか。東京都が選択肢として考えるならという受け身の立場なのか、積極的に是が非でも勝ち取りたいという立場なのか

 上田氏 なかなか難しい。既に4つの会場を持つ埼玉県の立場。村井知事が復興五輪のシンボルとしてボート競技を何が何でもお迎えしたいという気持ちに立たれるのはよく分かる。ただ、埼玉県みたいに極めてメジャーな種目を受けているところが、何が何でもという言葉を言っていたら、日本中から埼玉県民は我欲の強い人たちだと言われかねません。ただ、彩湖は彩湖で長所もありますので、選択肢の中にきちっと加えることが大事だと思っております。