鳥取県は砂丘と梨が有名ですが、意外に大根も健闘しています。1729メートルと中国地方一の名峰・大山(だいせん)のふもとで生産される大根が大手コンビニ、ローソンのおでんの大根すべてを供給しているんです。その数は年間400万本にも達します。先月21日の地震から明日で1カ月、鳥取から全国に向けて、おでん大根の出荷が最盛期を迎えています。

 大山の標高800メートルにある畑から大根の収穫が続いています。寒くなるにつれ、収穫する畑の標高は下がり、全体で110ヘクタールにも及びます。ローソンファーム鳥取の足羽直美社長(42)は「地震で梨が落ちたところもあり心配ですが、大根は大丈夫です。土砂崩れもなく、大きな被害はありませんでした」と話します。

 おでん用の大根に重要なのは、まずはサイズ。「ローソンのおでんは直径6センチに決まっています。そのためには8センチ以上の3Lサイズ、太くて長くて真っすぐ大根がベスト」(足羽社長)。ローソンのおでん大根は全国どの店舗でも同じサイズです。

 今は毎日5万5000本収穫された大根は、工場に運ばれ、直径6センチにくりぬかれます。厚さは3センチで統一され、従業員の手で大根を選別します。

 もちろん味も重要です。「大根はストレスを感じると育ちません。曲がってしまうこともあります。堆肥で土壌の下地を作ります。畑を酷使すると、必ず逆襲されます。なるべく自然の状態で育て、大根の本来の風味をお届けしたい」と工夫と努力を重ねています。

 規格外や廃棄になった葉の部分は畑に還元され、堆肥の原料になります。サイズがOKになった大根だけがゆでられ、下味がつけられます。パック詰めで完成です。この大根が全国のローソンに出荷され、関東ではかつお風味、関西ではこんぶ風味など全国9エリアごとに、だしつゆの味を変えて販売されます。

 ローソンのおでん人気は<1>大根<2>たまご<3>白滝が不動のベスト3。今年は台風や長雨で生産量が落ちて野菜は高値ですが、ローソンのおでん大根は1個77円と価格はそのまま。鳥取産のおでん大根は全国で毎日10万個も食べられているそうです。

 ◆ローソンファーム 生産者と流通業者が手を組み、<1>若手営農家の育成<2>雇用創出などによる地方創生を目指す。北海道から鹿児島まで23のローソンファームが稼働している。