2020年東京五輪・パラリンピックの3会場見直し問題で、月末に結論を出すとみられる4者のトップ級会合に向け、ボート、カヌー・スプリント会場を「海の森水上競技場」、バレーボール会場を「有明アリーナ」(ともに江東区)とする方向で調整していることが22日、東京都や大会組織委員会への取材で分かった。代替案の長沼ボート場(宮城県登米市)、横浜アリーナでの開催は困難な状況となった。

 29日に開催予定の国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、組織委、政府のトップ級会合の前日28日にも4者の作業部会を再度開き、報告案を取りまとめる。

 都幹部らによると、長沼は東京・晴海の選手村から約350キロ離れており、分村の問題点やアクセス面で難がある点に加え、治水用ダムのため万一、荒天となった場合、水面が安定せず大会開催が困難になる問題点を抱えている。また、環境影響評価(アセスメント)や周辺用地買収にも時間がかかり、開催までの整備に間に合わない可能性がある。

 9月に長沼案が浮上してからは、宮城県の村井嘉浩知事が懸命にPRし、登米市の仮設住宅を突貫工事で改造。「選手村モデルルーム」を約500万円かけて完成させるなど、誘致活動に力を入れていた。

 バレーボール会場の候補に挙がった横浜アリーナも問題点の解消に苦戦している。たとえ練習コート2面を周辺用地に用意できても、JR新横浜駅からの観客動線での警備やセキュリティー、観客滞留スペースが少なく、安全が担保されない問題点が残っている。

 都政改革本部の調査チームの上山信一特別顧問はこの日もIOC関係者を連れて、横浜アリーナを視察したが、組織委や都の関係者によると「孤立状態」。都の五輪特別委員会では、横浜アリーナにした場合の整備費を7億円とした調査報告書について「過少報告」だと指摘されるなど、同本部の不備を数多く指摘されていた。