廃炉作業の工程を定めた「中長期ロードマップ」では、今年夏ごろに1~3号機の燃料デブリ取り出しの方針を決める。先月30日、2号機でデブリとみられる黒い塊を初めて撮影したが、1、3号機では未確認。2021年開始予定のデブリ取り出しに向け、懸命の調査が続く。【柴田寛人】

 ◆福島第1原発の現状 被災規模が大きかったのは1~4号機。燃料デブリが残る1~3号機は、注水による冷温停止状態だが、内部は極めて高い線量で人が近づけない。震災当時に定期検査中で運転を止めていた4号機では、14年12月までに全ての使用済み燃料の取り出しを完了。内部に燃料がないため、監視不要になっている。1~3号機の注水に加え、1日約150トンの地下水などが流れ込み、これまでにたまった汚染水は約96万トン。高さ約10メートルの貯蔵タンクが約1000基も敷地内に並ぶ。地下水流入を抑えるため、1~4号機の周囲に凍土壁を築く作業が続いている。

 ◆シーベルト 放射線被ばくによる人体への影響の度合いを表す単位。自然界から受ける年間放射線量の世界平均は、2・4ミリシーベルト(0・0024シーベルト、2400マイクロシーベルト)とされる。毎時に換算すると0・27マイクロシーベルト。

 ◆東京電力福島第1原子力発電所 福島県沿岸の大熊町と双葉町で東電初の原発として1971年(昭46)に運転開始。2011年3月11日の東日本大震災に伴う津波で1~4号機が損傷。放射能漏れで周辺住民を避難させる重大事故を起こした。13年までに全6基の廃止が決定。40年かかる廃炉作業のため平日1日あたり約6000人が働く。