高線量は今も続く-。東京電力福島第1原発事故から来月で6年となるのを前に、日本記者クラブ取材団が今月9日、同原発構内を視察した。燃料デブリ(炉心溶融で溶け出した核燃料)が強い放射線を出す1~3号機に近づき、周辺をバスで移動。同日には2号機格納容器内で、過去最大値の650シーベルトが判明した。高線量に阻まれ、廃炉作業は難航を極める。日刊スポーツの柴田寛人記者(49)が福島第1原発の今をリポートする。

 約20人の取材団が高台に上がると、ある記者の線量計から「ピー! ピー!」と警報音が鳴った。同行する東電社員が、業務用の線量計を2号機に向けると、毎時144マイクロシーベルトを計測。都内の平均値(毎時0・03マイクロシーベルト程度)の4800倍、住民なら一時移転などの防護措置が必要になる線量だ。

 今月2日、2号機の格納容器内で毎時530シーベルトの極めて高い線量が判明。人間なら数十秒で死亡するレベルだ。記者は、この2号機を約80メートル離れた高台から見つめた。水色の建屋カバーに囲まれ、内部の様子は分からない。周囲に人影はなく、不気味な静けさに包まれていた。

 再びバスに乗り込み、3号機を右手に見ながら右折。バスが止まり、3号機の壁が崩れているところに東電の線量計を向けると、毎時335マイクロシーベルトの高線量が測定された。胸部エックス線検査の被ばく量を超える値で、燃料デブリの高い放射線量が想像できた。