学校法人「森友学園」による国有地格安取得問題で、自民党は7日、野党が求めた籠池(かごいけ)泰典理事長の参考人招致を、拒否した。籠池氏が民間人であることを理由にしているが、何を発言するか予測不可能なことへの不安もあるようだ。野党は「隠蔽(いんぺい)だ」と批判を強めており、与党寄りの日本維新の会も、今回ばかりは野党に同調した。国民の関心が高い問題だけに、自民党の「籠池隠し」には批判が強まりそうだ。

 民進党の山井和則国対委員長は7日、自民党の竹下亘国対委員長と国会内で会談。籠池氏ら関係者6人を衆院予算委員会で参考人招致するよう求めたが、竹下氏は「民間人の招致は慎重でなければいけない」と、拒否した。「ただ呼んで、騒いだでは済まない」とも主張した。

 参院でも民進党の榛葉賀津也国対委員長が、自民党の松山政司国対委員長に参考人招致を求めたが、松山氏は拒否した。

 野党が招致を求めたのは、籠池氏のほか、売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典国税庁長官、近畿財務局長だった武内良樹財務省国際局長らキーマンを含む6人。野党4党の国対委員長会談で、国有地売却の経緯について話を聞く必要があると判断した。

 会談後、山井氏は「隠蔽だ。参考人招致は国民の要望。なぜ拒むのか」「身の潔白を証明したいなら、安倍首相も自民党も参考人招致に応じるべきだ」と、自民党の腰が引けた対応を批判した。

 一方、日本維新の会の馬場伸幸幹事長も会見で、4野党と足並みをそろえる意向を示した。同党代表は松井一郎大阪府知事で、学園側の対応を批判している。

 籠池氏をめぐっては、自民党の鴻池祥肇元防災相の事務所記録に、籠池氏側から土地取引に関する働きかけが記されていたほか、鴻池氏が面会時に金品入りの封筒を差し出され、投げ返したと証言。鴻池氏は否定したが、格安土地取得の背景に、政治家の「口利き」があったのではないかという疑念は絶えない。

 今は沈黙する籠池氏だが、与党内では「国会に呼ばれた際、何を話すか分からない」と、「爆弾発言」を警戒。関与を全面否定する首相も学園と距離を置くことに必死で、政権内でも「(籠池氏と)事前に打ち合わせができない」(官邸筋)との声が出ている。

 ただ自民党や安倍政権が真相解明に消極的な姿勢を続ければ、国民の反発を招く可能性もある。きょう8日には、自由党の小沢一郎代表が自ら、学園建設地の視察に出向く予定だ。