稲田朋美防衛相は15日の参院予算委員会で、籠池泰典氏と04年よりも前に「保守的な活動」を通じて知り合ったことを明かした。また、「保守的な活動を行う教育者だった父が、籠池氏について語っているのを聞いたことがある」とも述べ、実父も籠池氏と面識があったと述べた。

 家族ぐるみの交流は否定したが、籠池氏の妻、諄子氏の稲田氏に対する主張を聞いて、「奥さまらしいなあと思う」と、感情的に口走る場面も。今は疎遠だとする籠池ファミリーとの「近さ」も、のぞかせた。

 「籠池を知らんと言うのは頭にきた。国会議員が国会でうそをつき、どうやって防衛大臣が国を守るのか」「私は嫌いだから話していないが、園長(籠池氏)は話した」。稲田氏は民進党の杉尾秀哉氏から、稲田氏との面会に言及したとする諄子氏の発言を指摘された。「奥さまらしい」と漏らした稲田氏には激しいやじが飛び、「申し訳ありません」と陳謝。「多数の方が参加する会合に籠池氏が来たのかもしれないが、私の記憶に基づくとお会いした認識はない」。「私の記憶」を盾に突っぱねる答弁は、この日も続いた。

 自由党の山本太郎議員は、稲田氏が籠池氏と疎遠になった理由を「大変失礼なことをされた」とした背景をただしたが、「国会で申し上げることではない」と退けた。山本氏は「虚偽答弁は記憶違いで、記録はすべて破棄。どんだけ無敵モードなのか」と批判した。

 稲田氏はこの日も、「誠実に答弁し、誠心誠意職に当たりたい」と、辞任は否定。しかし、国会答弁を撤回した稲田氏の対応には公明党の井上義久幹事長が自民党の二階俊博幹事長に苦言を表明。稲田氏への視線は、野党どころか与党内でも厳しさを増している。【中山知子】