安倍晋三首相は8日の衆院予算委員会で、憲法を改正して20年の施行を目指す意向を表明した真意を問われ、「自民党総裁として考えを公にした。政党間の議論を活性化するためだ」と述べた。しかし、「予算委員会では、内閣総理大臣としての答弁に限定している」として、具体的な説明は一切しなかった。

 首相は今月3日、一部メディアのインタビューと、憲法改正を目指す団体の会合に寄せたビデオメッセージで、改憲の意向を表明。民進党の長妻昭議員に「この場では言わず、報道やビデオで発言するやり方に違和感を感じる」と指摘されると、「読売新聞に書いてある。じっくり熟読してほしい」と、木で鼻をくくったような答弁。長妻氏は「自分の発言を新聞で読めというのは初めて聞いた」と憤り、浜田靖一予算委員長も首相に苦言を呈した。

 首相の主張には、自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行が自身のメルマガで、「もう少し慎重であっていただきたかった」と苦言を表明するなど、党内でも波紋を広げている。

 一方、民進党の福島伸享議員は、学校法人「森友学園」の名誉校長に一時就任した、首相の昭恵夫人を「(学園と)ずぶずぶの関係」と指摘。すると首相は、「そんな品の悪い言葉を使うのはやめた方がいい。それが、民進党の支持率に出ている。そういう姿勢は、誰も支持しない」と、同党の姿勢を批判。「籠池さんの証言を信用し、一方的に発言している」と不快感を示し、夫人の国会招致は拒否した。