選挙直前に結党し、支持を拡大し続けた立憲民主党は22日、枝野幸男代表(53)ら公示前勢力15人から2倍から3倍増以上となる40人以上の大躍進が確実となった。枝野氏は会見し、次期衆院選では党単独で政権交代を実現できる数の候補を擁立する意向を示した。民進党の希望の党合流から端を発し、小池百合子希望の党代表の「排除」発言に反発する形で2日に結党した新党だが有権者と共に歩む姿勢を強調。安倍政権への批判票の最大の受け皿となり、起死回生の大躍進となった。

 都内のホテルに設置された開票センター。会見した枝野氏は「永田町の権力ゲーム、数合わせに巻き込まれてはいけない。その筋をしっかり通していく」と改めて、訴えた。公示前勢力は15議席。2倍、3倍を超える勢いに、逆に責任の重さを痛感した様子。今回78人しか擁立できなかったが、「次期衆院選では単独で政権交代できるだけの候補を擁立するか」と問われ、「そのつもりです」と答えた。

 民進党は公認候補を出さず、希望の党を全力で応援する-。衆議院に88人いた野党第1党の民進党勢力が、一夜にして消えたショックは、あまりに大きかった。前原代表が主導した希望の党への合流は難航。小池氏の「全員を受け入れることはさらさらない」「排除します」という「排除の論理」への反発で流れが変わった。希望の党を「第2自民党」と評する声も上がる中、「選択肢がない」との声に応じた枝野氏が立ち上げた立憲民主党は、まさに起死回生の大きな受け皿となった。

 立憲民主党結党前、民進党の希望の党への合流の混乱の中、枝野氏は「1人カラオケで『不協和音』(欅坂46)を歌いたい」と話していた。結党後、仲間と歌いたい曲を聞くと乃木坂46の「インフルエンサー」と即答した。大きな影響を与える存在。選挙戦を通じ、まさにインフルエンサーとなった枝野氏に、これから有権者1人1人と何を歌いたいか問うと、枝野氏は「まだその余裕はないです」と表情をひきしめた。

 党は躍進したが、自民党は単独で過半数に達した。安倍政権は存続する。選挙戦では政策理念の異なる希望の党入りを拒絶し、「筋を通した」ことが評価されたが、安倍政権との「数の戦い」が待つ国会が始まる。それでも、枝野氏は「許される妥協の幅を超えて合従連衡した、同じ轍(てつ)は踏まない。近道をしようと理念政策を曲げてまで数を増やすことは一切しない」と断言。民進党に多くが残る参院議員への対応についても「民進党がどうされるか、見守りたい。永田町の都合で立てた旗をぐらつかせてはならない」と強調した。

 筋を通しながら、国会でどう戦っていくのか。実行が伴わなければ、風はすぐにやむ。真価を問われるのはこれからだ。【清水優】