前川喜平・前文科事務次官(63)は14日、北九州市で講演し、加計学園の獣医学部新設計画に関し「首相案件」と書かれた「愛媛文書」が表面化したことについて、安倍晋三首相は計画を了承していたはずとの認識を示した。かねて「加計ありき」との認識を示しており「安倍さんは(首相案件と)言っていると思う。明白な意思表示がないと(役人は)ああいう文書はつくれない」と指摘した。

 前川氏はこれに先立ち、首相の地元、山口県下関市でも講演したが、市教育委員会が「前川氏への応援ととられかねない」として後援を断り、臆測を呼んでいる。前川氏は終了後の取材に、財務省の文書改ざんなどに触れ「すべて公務員が責任をかぶる。公務員をここまでおとしめる政治のあり方には非常に疑問を感じる」と、現在のゆがんだ「政と官」の姿を批判した。

 下関市教委が後援を断ったことには「市教委の判断」と述べたが、北九州の講演は、同市教委が後援。首相の地元とそうではない北九州市で、対応が割れた。前川氏は北九州の講演で、将来の少子化に触れて「必要な職業は何か考え、大学をつくらないといけない」と、獣医学部新設も批判。「愚かな政府は愚かな国民がつくる。賢い主権者でないと賢い政府はできない」と、約2000人の聴衆に呼び掛けた。【中山知子】