サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で西野ジャパンが今日24日深夜に対戦するセネガルは西アフリカにあり、日本からは約1万3000キロも離れているため、あまりなじみはない。その両国を結ぶ意外な接点があった。それは、タコだ。

 日本ではアフリカ北西部のモーリタニア、モロッコがタコ輸入量の約3分の2を占めているが、漁獲量の減少や、「デビルフィッシュ」と呼ばれる見た目から敬遠してきた南欧以外の欧米諸国も食べるようになり、この2国からの輸入量は減少傾向にある。

 近年、価格が上昇しており、このままでは関西のソウルフード、たこ焼きも「庶民の味」ではなくなってしまう。そこでセネガル産が注目されている。

 国際協力機構(JICA)が09年から昨年まで、技術支援を実施。JICA農村開発部の三国成晃さんは「捕った瞬間から、いかに品質を落とさないかが重要」と話す。技術支援前は暑さの中、捕ったタコを船の甲板にたたきつけて殺し、氷水にも入れずに浜まで運んでいたという。それを冷凍保存、加工技術の向上、禁漁期間の設定などを行い、品質・衛生・資源管理を徹底して日本や欧州へ輸出できる水準へ引き上げた。

 15年8月にはウマル・ゲイ漁業・海洋経済大臣が来日し、「セネタコ」と名付けてトップセールスを実施。たこ焼きの本場、大阪でも好評だった。

 三国さんによれば、日本の輸入タコの中でセネタコのシェアは4%前後だというが、品質向上で増加を目指したい。人口約1500万人のセネガルで貧困率(年間所得が平均の半分に満たない人の割合)が約50%とされる中、全就業人口の約17%(約60万人)が水産業に従事。日本の支援が非常に重要な役割を担っていた。【三須一紀】