コーディネーター呉昇桓の「心意気ツアー」や!!

 阪神の投手会が12月上旬に韓国で行われることが1日、分かった。2泊3日のツアーを組み、呉昇桓投手(32)がホスト役を務めるというもの。例年なら近場で行われる投手陣による慰労会が、守護神の母国で開催。超異例のツアーで団結力を育み、来季のV奪取へと向かう。

 阪神投手陣が12月に何とも粋なツアー旅に出る。行き先は韓国ソウルだ。1年間を戦い抜いた主力投手や球団スタッフがこぞって隣国へ飛ぶ。添乗員などいらない。異国で待ち構えているのは、誰よりも頼もしい“ツアーコンダクター”呉昇桓だ。韓国球界のスーパースターがかけがえのない戦友をおもてなしする。

 オソオセヨ(ようこそ)!!

 今季、来日1年目から39セーブを挙げてセーブ王に輝いた。シーズン終盤は獅子奮迅の力投。クライマックスシリーズは驚異の6連投でMVPに輝く。表情を変えないマウンドさばき、グラウンド外での気遣い…。鬼の勝負師でありながら、優しい男でもあるクローザーに、この1年間で誰もが信頼を寄せた。1カ月ぶりの再会は、呉昇桓にとって気心知れた仲間と来季の健闘を誓い合う、大切な時間になりそうだ。

 異例の海外投手会は「心意気ツアー」だろう。きっかけは開幕前の決起集会だった。席上で「韓国に来るなら、俺に任せてくれ。みんなを案内してやるよ!」と意気込んだという。あれから8カ月たっても約束を忘れていなかった。観光地の明洞を散策し、セレブな江南でショッピング…。熱々のチゲにサムギョプサルなど韓国料理に舌鼓…。はたまた、呉昇桓ならではの仰天オプショナル・ツアーが用意されているかもしれない。

 阪神への愛着にあふれている。呉昇桓は帰国後の11月中旬、韓国メディアから取材を受け、来オフ以降の米大リーグ志向だけが切り取られて大々的に報じられた。だが本心は違うところにある。韓国球界関係者は「メジャーリーグ進出を強調されたけど、あくまで、来年も阪神のために全力を出し切ることだけに集中している」と代弁した。

 野望は大きい。防御率0点台と球団史上初の2年連続セーブ王だ。いまはつかの間のオフタイム。来日当初、異国で戸惑っても、分け隔てなく接してくれた仲間への感謝もあるだろう。15年シーズンも全力を出すため、母国で日本の友と語らい、笑い、絆を深める。