脳科学者の茂木健一郎氏(53)が、芸能人の政治に関する発言を制限する日本のメディアの現状に懸念を示した。

 東京都知事選への出馬を断念した俳優の石田純一は、11日の記者会見で断念した理由について「メディアのルールというか、おきてがありまして、公示前であっても中立、公平という立場から番組を差し替えたりを、ギリギリで待ってもらった。その部分のタイムリミット」だと説明した。

 石田は今回の出馬騒動でCMの差し替え等による多額の損害賠償を被るとみられる。俳優の坂上忍は13日生放送のフジテレビ系「バイキング」で「同業者なら誰でもわかると思うけど、どれだけの迷惑を周りの方々に掛けたか。金額じゃないと思いますよ」と、損害賠償以上にダメージがあると指摘していた。

 その後、石田の所属事務所が今後一切、政治に関する発言ができなくなったとコメントしたと一部で報じられた。茂木氏はこの報道を受け15日にツイッターで、「日本の『芸能文化』、本当にこれで良いのでしょうか。『セレブ』の世界水準とは乖離するばかり。あまりにせこい国内仕様」と嘆いた。

 茂木氏は「日本の芸能人の方々が、欧米のセレブのように、ジェンダーや、格差や、差別の問題についてもっと積極的に発言して、文化や世論をリードするような存在だったら、もっと、出演されているドラマや映画も見たくなる気がする。現状では・・・」と私見を述べ、欧米と比較した。