<クローズアップ文化系 我らNO・1>
甲子園を目指すのは高校球児だけではない! 明日31日にはセンバツ出場校発表が行われるが、青森県には熱い情熱を注ぐもう1つの“聖地”がある。毎年弘前市の青森県武道館で開催されるファッション甲子園。第4回大会の昨夏は、地元弘前実業から史上初めて2組が入賞した。デザインからモデルまですべて3人1組で行い、竹谷紗織、鳴海恵理、八木橋美砂子(ともに3年)組が準優勝、金光史恵、春藤美月、古川愛子(ともに2年)組が審査委員長特別賞を獲得した。
夏の甲子園と時を同じく、ファッション甲子園も照り付ける太陽がまぶしい真夏に開催される。8月8日に行われた昨年は、第1次審査に全国596校、3296チームが参加。応募総数6334枚のデザイン画の中から、40点が最終審査会への切符をつかんだ。
倍率158倍の狭き門を、地元弘前実の服飾デザイン科2組が突破。さらに本戦でも竹谷、鳴海、八木橋組は全国準優勝の輝かしい結果を残した。デザイン、制作、モデル、演出…。すべて3人でこなす。デザイン画を描いた竹谷は「ファッション性だけじゃなくて、高校生としてのアイディアを競う部分が大きい。かわいいだけではなく、サプライズ的な要素も必要」と話す。受賞作品には、確かに驚きがあった。
一見普通に見える水色のワンピース。そのスカートをウォーキングを終え、階段に腰掛けたモデルの八木橋が、一気にまくり上げる。するとスカートの中から、茶色を基調に、画家の奈良美智が描く独特の作風をモチーフにした顔が100点ほど現れる。瞬時に色彩、形態が変化する高いファッション性に加え、女子高生が自らスカートをめくるなんて…。大きなインパクトも残った。
第1次審査合格が決まった6月から制作を始め、完成したのは大会前日の朝だった。支給された制作費3万円の中で工夫をこらした。夏休みには互いの家に泊まり込み、制作に没頭。準優勝の瞬間には、全員で抱き合って涙を流した。「自分1人では解決できなくても、3人で力を合わせればできることがある」。高校生活最後の夏に、本家甲子園にも負けない熱い青春を満喫した。
指導する三浦崇子教諭(42)佐々木孝子教諭(43)も「彼女にしか描けない作品。色のバランス感覚もいい」とたたえる。審査員でヒロミチ・ナカノを手掛けたファッションデザイナー中野裕通からも高評価を得た。竹谷は東京文化服装学院に進学し、デザインの勉強を続ける予定だ。
悲願の優勝へ、先輩たちの夢は後輩が受け継ぐ。審査委員長特別賞を受賞した金光は、大会終了後から1日1枚デザイン画を描いてきた。「来年はこの3人で優勝を目指します」。【前田祐輔】
[2005/1/30/11:24 紙面から]
写真=受賞作品を前に、笑顔を見せる弘前実の服飾デザイン科メンバー
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