リオデジャネイロ五輪最終日の21日行われた男子マラソンで、銀メダルを獲得したエチオピアのフェイサ・リレサ(26)が額の前で両手を交差させるポーズをしながらゴールインした。記者会見では、エチオピア政府の「圧政への抗議」だったと説明した。

 ロイター通信などによると、同国ではオロミア、アムハラ両州などの一部地域での土地の強制収用計画を巡り、昨年から政府に対する抗議が活発化。五輪が始まった8月初めには90人以上が治安部隊に殺害される事態が起き、人権団体も懸念を示していた。

 リレサは競技後の記者会見で、自らがオロミア州出身のオロモ人であることを明らかにし「エチオピア政府は仲間を殺害し、土地や資源を奪っている。私の親族も違法に拘束された。オロモ人の抗議を支持する」と主張した。

 報道によると、同選手のポーズはオロミア州などで行われている抗議のしぐさだという。同選手は帰国すれば「殺されるか投獄されるかもしれない」と懸念を示し、今後は海外への亡命を検討する考えも示した。

 五輪での抗議はスポーツの政治利用に当たるのではないかとの指摘も出たが、リレサは「これが私の気持ち。国内での抗議は非常に危険だ」と訴えた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチはオロミア州では昨年11月以降、政府への抗議活動で400人以上が死亡したと推定している。