- 体操男子個人総合決勝 金メダルを決め、日の丸を手に笑顔の内村(撮影・菅敏)
<リオ五輪:体操>◇10日◇男子個人総合決勝
世界選手権の団体銀メダリストで、昨季限りで引退した植松鉱治氏(29)が、元同僚の内村航平(27=コナミスポーツ)の金メダル演技を解説した。
◇ ◇
内村選手の精神力には驚くしかありません。1位とは1点近く差をつけられて、完璧な演技が求められる最終種目の鉄棒で、15・800点。本当に鳥肌が立つほどの見事なできでした。
逆転された2位ベルニャエフ選手の鉄棒の得点が低いと思っている人もいるかもしれませんが、妥当だと思います。
鉄棒の両者の得点は、
内村15・800=Dスコア7・1+Eスコア8・7
ベルニャエフ14・800=Dスコア6・5+Eスコア8・3
(Dスコア=演技価値点、Eスコア=実施点。10点から減点)
ベルニャエフに減点対象のミスはいくつも見られました。ひねり技の後に逆手でバーを持ったときの角度が低かったり、離れ技のあとの大車輪にいくときに肘が大きく曲がっていたりしました。着地も大きく前に出ていますから、これも減点対象。すべてうまくいっても15・1~15・2点の構成ですから、あの演技で14・8点は問題ないスコアです。
内村選手はつり輪の得点が少し出なかったかなと感じました。E難度を8・533とされたんですが、8・7ぐらいはあると思います。それと平行棒では着地が前に1歩出ましたが、あれは練習ではめったに見られないミス。着地を「止めてやろう」と狙いすぎた結果です。
ただ、気合が入りまくっていた団体総合決勝に比べればフラットな集中状態だったように思えました。自分の演技のことだけを考えて、普段通りの内村選手でした。
団体決勝が終わって、リオの内村選手から「何とか踏ん張りました」と連絡がありました。本当にすごい男です。2連覇おめでとう!
◆植松鉱治(うえまつ・こうじ)1986年(昭61)8月30日、大阪府松原市生まれ。松原七中、清風高を経て仙台大進学。4年時の2008年全日本学生選手権個人総合で内村を抑えて優勝。コナミでも「鉄棒のスペシャリスト」として活躍。2010年世界選手権では日本の団体銀メダルに貢献。2013年全日本選手権の鉄棒で優勝。昨季限りで現役を引退した。
日刊スポーツ リオ五輪評論家
古賀稔彦(柔道)
バルセロナ五輪金メダル「平成の三四郎」が日本柔道を解説。
伊東浩司(陸上)
10秒00の男子100メートル日本記録保持者が、躍動する日本の陸上を解説。
瀬古利彦(マラソン)
五輪2度出場、往年の名ランナーが日本の陸上を評する。
野口みずき(マラソン)
アテネ五輪金メダリストが長距離日本代表を解説。
高橋繁浩(競泳)
平泳ぎで五輪2度出場。テレビ解説でもおなじみの中京大教授が日本のスイマーを分析。
小谷実可子(シンクロ)
ソウル五輪銅メダリスト「永遠のマーメイド」が復活狙う日本のシンクロを解説。
池田信太郎(バドミントン)
「イケシオ」コンビでロンドン五輪出場。躍進する日本のバドミントンを解説。
米田功(体操)
アテネ五輪団体総合金メダリストが日本体操陣を分析。
セルジオ越後(サッカー)
ご意見番がサッカー五輪代表を辛口チェック。
秋田豊(サッカー)
W杯2度出場の熱血ディフェンダーがサッカー五輪代表を解説。
宮崎義仁(卓球)
2012年ロンドン五輪男子代表監督が、連続メダルを狙う日本の卓球を解説する。
伊藤華英(競泳)
高校生で日本代表入りし、美女スイマーとして五輪に2度出場。選手目線の細かすぎるエピソードを交えて競泳陣の奮闘ぶりを解説します。
高橋有紀子(バレー)
インドアで2度、ビーチで2度の五輪出場。4大会連続入賞という日本女子バレー界唯一の記録を持つ。2大会連続メダルを目指す日本のプレーを分析します。
植松鉱治(体操)
絶対王者・内村に最後に個人総合で勝った元鉄棒日本チャンピオンが、頂点を目指す体操ニッポンの演技を解説します。