国際オリンピック委員会(IOC)は19日、電話による緊急理事会を開き、世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが国ぐるみの不正があったと認定したロシアの処分を協議した。結論は21日以降に先送りとなった。「リオデジャネイロ五輪の全競技からロシア選手団を締め出す処分の法的側面を精査する」とし、強い姿勢で問題に対処する方針を示唆した。

 国際陸連にリオ五輪参加を禁じられたロシアの陸上選手の提訴を受けたスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定が21日に予定されており、その結果を見極めた上で五輪からロシアを除外するかどうかを判断するとみられる。

 理事会は、ドーピング違反が隠蔽(いんぺい)されたロシア選手を特定し迅速な処分を科せるよう、カナダの法律家、マクラーレン氏が率いる調査チームの任期延長をWADAに要望した。調査チームが指摘したロシア・スポーツ省幹部らの不正関与で事実関係を確認するための規律委員会も設置。関与した同省幹部らはリオ五輪から締め出すことも決定した。

 2014年ソチ冬季五輪のドーピング検査で検体のすり替えなど不正が横行したとの報告を踏まえ、当面はロシアで主要大会を開催しないよう冬季競技の国際競技連盟に要請。同五輪に参加したロシア全選手のドーピング再検査も実施する。

 WADAはIOCと国際パラリンピック委員会(IPC)に、リオ大会からのロシア選手団除外を検討するよう勧告している。