男子床運動の金メダル筆頭候補が、まさかの4位に沈んだ。昨年の世界選手権優勝の白井健三(19=日体大)が、着地でふらつくなどミスを連発。最高難度の技を持つ「ひねり王子」が、初出場の五輪の緊張感に押しつぶされた。腰痛をおして強行出場した内村航平(27)は5位で、今大会を終えた。

 会場がどよめいた。異次元の演技を期待された白井が、序盤の大技「リ・ジョンソン」の着地でふらついた。「シライ2」でも足が2歩前に出た。演技を終えると「すみません」と、スタンドに両手を合わせた。

 「自分の演技ができずに悔しさはある。演技を終えた時は負けは覚悟できた」と振り返った。出場選手中最高のDスコア(演技価値点)を持ちながら、出来栄えを示すEスコアは8人中最低。思い切りの良さを欠き、目標とする「攻めの体操」もできなかった。

 「健三も人間だったんですね」と内村。自ら「まだまだ子ども」と言う白井は、目標だった団体優勝を果たした後で気持ちが入らなかった。「心の底の部分は正直ですね」ともらした。「気持ちを切り替えてやっていきたい」。東京五輪のエースと期待される19歳は五輪の怖さを知り、ひと回り大きくなることを誓った。