サッカー元日本代表FW鈴木隆行氏(40)が、リオデジャネイロ五輪男子日本代表のキーマンにDF塩谷司(27=広島)を挙げた。23日、千葉県・江戸川大のオープンキャンパスで現代社会学科の特別講義を行った。02年のW杯日韓大会で初の勝ち点1をもたらしたベルギー戦での同点ゴールを決めた鈴木氏は学生らを相手に、ブラジル、ベルギー、セルビア、米国と海外クラブも渡り歩いた経験談などを伝えた。

 五輪に向けて「国際試合の経験が少なく、厳しい戦いになる。ただチームがまとまれば五輪の年代は勢いでひっくり返る。(1次リーグは)2勝1敗は期待できる」と予想した。キーマンには水戸時代の僚友だったオーバーエージ枠の塩谷を挙げた。「日本で1番身体能力が高い。一緒にやっていたきとは驚かされたし、なぜ日本代表に選ばれないのかと。足も速いし、ボールもさばける。ただ守るだけじゃなく、いろんなことができる」と絶賛。

 先日、会食し、助言を伝えたという。「(課題は)ロングボールへのヘディングの競り合い。そこはすごく重要になってくるので、気をつけろと伝えた」とレベルアップを求めた。

 開催地のリオデジャネイロはかつてCFZ在籍時に過ごしていた町だ。当時は精神的にも孤独を味わい「地獄だと思ったが、人間的に大きく成長できた」と振り返る時間でもあった。懸念されている治安について「夜とかの時間帯や場所に気をつける必要がある」と話した。

 自身の体験談として友人も含めて3人でコンサートに出掛けた時に、友人が1対1のケンカになったところ、周りに止めていた車から8人が降りてきて囲まれたことがあったという。「3人散りぢりで逃げました。映画みたいだったけど、もう終わりだと思った」と苦笑いで恐怖を振り返った。

 現在は指導者を目指し、研さんを積んでいる。未来ある学生に向けて「自分は50回失敗して1回成功を繰り返した。うまくいかないこともあるが、心が折れなければ、またチャレンジできる」と熱く説いた。