前回取材させてもらった小野生奈選手から「根っからの勝負師で、ボートになるとその集中力はすごい! リスペクトしています」という紹介を受けたのは、同じ福岡支部の竹井奈美選手(27)。それを伝えた時の「全く同じことを小野さんに思いますよ」という言葉からも、2人の仲の良さがうかがえますよね。

 先日、福岡で行われたオールスターで、竹井選手が水神祭をあげた時も「ゴールした後、(水面から)ピットが見えて、小野さんがすごく喜んでくれていたのが分かった」と笑顔でハイタッチ。前夜祭で宣言して早々のSG初1着は、小野選手の言葉を証明するカッコ良さでした。

5月23日に、福岡でのボートレースオールスター1Rで、有言実行で見事に水神祭を飾った竹井奈美選手。仲間に抱えられて、水面に投げ込まれました
5月23日に、福岡でのボートレースオールスター1Rで、有言実行で見事に水神祭を飾った竹井奈美選手。仲間に抱えられて、水面に投げ込まれました

 「A級に上がって、早めにタイトルを取りたい」という理想はあったものの、「初めはSGを走れるとか思ってなかった」という竹井選手。昨年6月に初優勝するまでには、初優出から約3年半の道のりを費やしました。その間、“優勝できないのは、何かが足りないんだ”と人と比べてしまったりした苦しい時期もあったそうですが、「(自分は)1個ずつしか成長できないんだな」という答えにたどり着いたことで、「やることをやろう! もっと整備して、もっとスタートを確実にして、練習でももっとスピードを上げよう」と考えるようになったといいます。

 「大丈夫! と思うくらいに仕上げれば、精神的なところで安心感があるしエンジンも信じられる。そうやっていい方向に考えられた時に、優勝できる! と思ってホントに優勝できたんです」と冷静に振り返ってくれました。

 一方で8月1日から芦屋で行われるレディースチャンピオンに向けては、「地元だし、優勝したい気持ちはもちろんあります。乗りやすいし、スタートもしやすい。練習もたくさんしたし、あと、“人”も好きなんです! 関係者の方も温かくってお父さんみたいだし、レースしやすい環境を作ってくれる。それからお客さんに近いのも、絶対プラスですよね。人に支えられてるってすごく感じます」とにっこり。

 自分自身については内に秘めた強さと冷静さを向け、対して、周りの方へは気配りと感謝の思いを真っすぐに表せる竹井選手の人柄が伝わってきました。

竹井奈美選手(前列左)の家族写真。後列左からお母様の由美子さん、お父様の正則さん。前列右は次男の一輝さん
竹井奈美選手(前列左)の家族写真。後列左からお母様の由美子さん、お父様の正則さん。前列右は次男の一輝さん

 きっかけは、お父様に連れられて行ったボートレース場で、そのエンジン音やヘルメット姿を見てカッコイイ! と思ったことから。そのきっかけとなったお父様への思いを聞いてみると「申し訳ない方が多いかも」という意外な答えが返ってきました。訳を聞くと「ボートレース自体が好きだから、本当は本場で生のレースを見たいと思うし、私のことでいえばいい結果ばかりじゃないから、そういう時につらくないか聞きたいんです」とのこと。

 私も気になって、お父様の正則さんに連絡すると「もちろん、本当は目の前で見たい気持ちはあるけど、画面からちゃんと応援できるし、けががないのが一番。無事完走してくれたらホッとします」と、優しく見守ってくれているお父様のお気持ちを聞くことができました。

 そうして、「ホントはね、私がボートレーサーになりたかったんですよ。でも目が悪くって、病院にも行ったけど難しくって…。だから奈美がやまとに一発で受かった時にはびっくりしました。私の夢をかなえてくれてるんですよね」とすてきなお話も。

 現在は、弟の貴史さんもボートレーサーとなり、次男の一輝さんも先日、ボートレーサー養成所に合格しました。

 きょうだいでかなえたお父様の夢、これからも目が離せませんね。

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