今回は出場選手42人の中から注目のレーサーを紹介します。最強戦士、期待の新鋭、そしてベテランと、多彩な顔触れ。競輪選手といえば丸太のような足のイメージが先行しがちですが、女子は細身だったり、アイドル顔負けのビジュアル系だったりして驚かされます。ぜひ、注目してください。

◆小林優香(こばやし・ゆうか、21=福岡) 昨年5月デビューから今日11月30日まで111戦106勝と、圧倒的な強さを誇るガールズNO・1レーサーです。負けた5戦のうち2着は2回、3着は1回。つまり車券の対象(3着以内)から外れたケースが2回しかなく、この選手がいる時は相手探しに専念できるので実に頼りがいがあります。今年6月に岸和田競輪場で記録した、日本人女子の最速上がりタイム11秒6(ゴールまでの200メートルで計測)は、男子のトップクラス並み。優勝候補の筆頭として、再び自慢のスピードを見せつけること間違いありません。

◆高木真備(たかぎ・まきび、21=東京) 今年のガールズケイリン総選挙(全ての女子選手を対象に行われる人気投票)で3位に入るなど、愛くるしいルックスで人気を集めています。実力もトップクラス。選手を養成する日本競輪学校での競走訓練成績は、在校中2位の優等生でした。競輪で最もタフな戦法は、風圧を受けながら先頭で走り抜く「逃げ」。これを得意としており、9月に行われたタイトル戦のガールズケイリンコレクションでは、2着に残って称賛されました。ちなみに「真備」という名前は、奈良時代の学者・吉備真備(きびの・まきび)と同じ岡山県真備町の出身であることにちなんで、付けられたとか。積極果敢なレースで、今回もファンを沸かせてくれるでしょう。

◆山原さくら(やまはら・さくら、22=高知) ガールズケイリン日本一を決める「ガールズグランプリ」が毎年12月28日に行われています。今年で4回目を迎える、女子最大のタイトル戦。総勢84人の中から、1~9月の獲得賞金額上位7人しか出場できません。この狭き門を、今シリーズのメンバーでは小林優香、小林莉子とともに突破しています。かつて競輪のトップクラス「S級1班」に在籍していた山原利秀(現在はA級1班)を父に持つ、サラブレッド。最大の武器は、レース終盤で見せる強烈な瞬発力です。あまりのダッシュの鋭さに、他の選手がまとめて置き去りにされることもしばしば。そんな痛快な走りが、再び見られるかもしれません。ガールズグランプリ挑戦は、デビューした2013年から3年連続。過去2戦(4、7着)の憂さを晴らすため、ここで悲願の初Vへ弾みをつけたいところです。

◆小林莉子(こばやし・りこ、22=東京) 新時代を切り開いた女子1期生の1人。記念すべきガールズケイリン開幕戦(2012年7月1~3日=平塚)を制して初代女王に輝き、第1回ガールズグランプリ(同12月28日=京王閣)でも優勝して歴史に名を刻みました。ここ一番での勝負強さは必見です。2年目以降は平凡な成績が続き、タイトルとは無縁ですが、今年は復調ムード。8月のガールズケイリンフェスティバルで準優勝、6月のガールズケイリンコレクション3着とタイトル戦で上位に食い込み、3年ぶりのガールズグランプリ出場を決めています。巧みなポジショニングと差し足を武器に、完全復活へ向かって一直線!

◆尾崎睦(おざき・むつみ、30=神奈川) 元ビーチバレーのスター選手。あの浅尾美和や「かおる姫」こと菅山かおると戦っていました。2013年12月、ガールズケイリンへの転向を発表。競輪学校を主席で卒業し、注目の新人として今年7月にデビューしたばかりです。新天地でも通算成績30戦21勝、10大会に出場して優勝4回と、逸材ぶりを発揮。若きトップレーサーたちを相手に、意地と実力の見せどころです。

◆中村由香里(なかむら・ゆかり、34=東京) こちらも転向組です。かつて小学校の先生を務めていた異色レーサー。自転車の趣味が高じてガールズケイリンの門をたたき、競輪学校では女子1期生の在校成績1位に輝くなど、いきなり才能を開花させました。2012年のデビュー後も、ガールズグランプリ(13年)ガールズケイリンコレクション(13、14年)優勝と、タイトルを重ねてトップクラスを維持。鋭い立ち回りから繰り出す、多彩な攻めは見逃せません。

【注】各選手とも冒頭から氏名、年齢、所属都県。

※次回は12月7日に更新予定