加瀬加奈子(36=新潟)が1年前の悪夢を断ち切る。

 昨年12月の当地初日に落車。四日市市内の病院に救急搬送されたが、はっきりとした意識のないまま4日間、生死をさまよう重傷を負った。四肢こそ回復したものの、頭部打撲による臭覚異常は生涯治らないと診断された。

 1年ぶりに出た当地あっせんだ。「人にも相談したけど、どこででもけがするときはするんだから、行ってこいって言われて。今回の目標は3日間、完走すること。そして、バンクでAEDの世話にならないこと」と笑わせた。

 もちろん、それはジョーク。加瀬には約束がある。四日市に入院中、隣のベッドにいた女子高生と知り合った。ガールズケイリンレーサーと明かし、再び四日市を走るときには見に来るよう誘った。その女子高生はちょうど期末試験中で、それが終わるのが最終日だとか。「決勝に乗って、優勝するところを見せられれば…」。高木真備、尾崎睦ら自力のライバルは手ごわいが、約束を果たすためにも突っ走る。