日刊スポーツ新聞社制定「第31回ボートレース年間三賞」の各賞が決まった。MVP殊勲賞は、前年技能賞だった石野貴之(34=大阪)がSG2冠、準V2回の成績で獲得した。表彰式は2月8日に東京・品川プリンスホテルで行われる。

 石野貴之が初の殊勲賞を受賞した。昨年は7月鳴門オーシャンCと11月大村チャレンジCのSG2冠。さらにSG準優勝2回、G1優勝1回、一般戦優勝6回も重ねて、2位の瓜生正義に30ポイント差をつけた。「うれしいです。まさか、MVPを取れるとは思いませんでした」。前回の技能賞から、今回は大きく飛躍した。

 昨年は勝負強さが光った。3月G1戸田周年優勝戦でフライングを切り、スタート事故罰則の影響で7月から6カ月間、G1とG2戦に出場できなくなった。一般戦かSGしか走れないピンチを、石野はチャンスに変えた。7月以降だけで優勝はSGを含めて6回、優出は12回を数えた。目の前の1走に集中して、勝負強さに磨きをかけた。「最後(のレース)以外は上出来でした」。思わず反省を口にした。

 最後の集大成が消化不良だった。初の賞金トップで臨んだSGグランプリ。2nd1回戦こそ逃げたが2、3回戦でともに4着に敗れた。「結局、(GP優勝戦の)1枠が取れないのは、力がないということ。この世界は結果が全てですから」。力不足を認めたからこそ、今年に懸ける思いも伝わってきた。

 現在は24日までフライング休みを消化している。昨年のSGグランプリ終了後は、家族そろってハワイへ。1年間の疲れを癒やし、心身ともにリフレッシュした。今年のテーマに迷いはない。「やっぱりグランプリを取ること。また、2ndのトップからスタートしてリベンジしたい」。強い気持ちを持って、石野の17年はまもなく始動する。(データは日本モーターボート競走会提供)

 ◆石野貴之(いしの・たかゆき)1982年(昭57)6月3日、大阪府生まれ。ボートレーサー養成第90期生として、02年5月に住之江でデビュー。初優勝は03年10月の宮島新鋭リーグ戦。通算優勝回数は44回。そのうちSG優勝はオーシャンカップ3回(10、15、16年)と、16年チャレンジCの計4回。G1優勝は計5回。166センチ、52キロ。血液型0。

 ◆殊勲賞 石野がポイント首位独走で迎えた12月、瓜生がすさまじい追い上げを見せた。福岡、からつG1・2節を連続優出し3着、優勝。残すはSG住之江グランプリ。この時点で、瓜生が優勝し石野がファイナル進出を逃すと同点という接戦に持ち込んだ。瓜生はファイナル1号艇を逃げ切り、見事に初の黄金のヘルメットを獲得。だが石野も優出を外さず瓜生に次ぐ2着、殊勲賞を決めた。