藤田3年ぶり感激のG1制覇/Vマイル
<ヴィクトリアマイル>◇18日=東京◇G1◇芝1600メートル◇4歳上牝◇出走18頭
5番人気エイジアンウインズ(牝4、栗東・藤原英)が、ダービー馬ウオッカの猛追を3/4馬身封じ、初めてのG1タイトルを獲得した。あん上の藤田伸二騎手(36=フリー)は、05年安田記念(アサクサデンエン)以来3年ぶり10勝目の、藤原英昭師(42)は初めてのG1勝利。1600万-G2(阪神牝馬S)に続き3連勝で勲章を手にしたエイジアンウインズは海外挑戦も視野に入っている。
先頭でゴールに入った藤田はその直後、右手を高々と突き上げた。そして左の手で愛馬の首をポーンとたたいた。「ありがとう」そんな思いを込めて。
3年ぶりのG1勝利は、馬の力を信じていればこそだった。ラスト400メートルの標識を過ぎてすぐ。外のレインダンスと内のニシノマナムスメの間に出来た1頭分のスペースを見逃さない。「絶対にそこがあくと思っていた」。パートナーの頭をねじ込ませると、叱咤(しった)の右ムチを打ち込む。待っていたかようにエイジアンウインズが目覚める。内で粘るブルーメンを競り落とし、外から迫ったウオッカを封じた。「東京のマイルは逃げ切れるほど甘くない。どんなに押し出されようと、遅かろうとハナに行くつもりはなかった。3枠6番っていう、内から6頭分のコースを走って来ようと思っていたんだ。あれ以上内に行けば悪い馬場を走らされるし、外に行けばロスになる。思い通りの競馬をさせてくれたスタッフに感謝したい」。
エイジアンへの騎乗は今回が初めて。だが布石は1カ月半以上前にあった。18日はシンガポール航空国際Cが行われた日でもあった。当初、藤原英厩舎はタスカータソルテをこれに送り込む予定だった。藤田はそのあん上に手を挙げたが、すでにほかの騎手に決まっていた。藤原師はすかさず言った。「エイジアンが阪神牝馬Sを勝ってヴィクトリアマイルに行く。そっちを頼む」。準オープン(心斎橋S=3月30日)を勝った直後にすでに今回のシナリオは出来上がっていた。
藤田にとって3年ぶりのG1の味。ここ6年、コンスタントに100勝以上を挙げてきたトップジョッキーだが、G1勝利には縁がなかった。若手の台頭、地方競馬の腕利きの参入もあり、05年安田記念後は、35のG1に騎乗したが勝てなかった。
最近はレースで教え込んできた馬がほかの騎手に渡ることも多かった。「もう騎手をやめてもいいかと思っていた」。注いだ努力が報われないことも多かった。何より大切な運に見放された時期もあった。常に危機感がつきまとった。
だからこそ信じ続けてくれた厩舎スタッフには、勝利という形で恩返しをしたかった。「なんとしても勝ちたかったし自信はあった」。パーフェクトな仕上げに、パーフェクトに応えた男の笑顔がひときわ輝いた。【高橋悟史】
[2008年5月19日8時14分 紙面から]
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