J3藤枝MYFCは、今季からGKコーチに就任した“クモ男”シジマール(54)を、3月末に選手登録しました。現役復帰は、清水時代以来22年ぶり。前節アウェー盛岡戦(4月16日・0-1)では、登録後初めてベンチ入りメンバーにも名を連ねました。選手登録をした背景は、GKにケガ人が続出し、足りなくなるという最悪の状況に備えたため。今月に入り大学生の特別指定選手も加入したので、シジマールが実際にリーグ戦に出場し、Jリーグの最年長出場記録を更新する可能性は低いと言えます。

 シジマールは「コンディションは、グッド!」と笑顔で練習に取り組んでいます。その練習内容は、試合でのプレーを想定したものが中心です。「試合中、いつもボールは動いている。だから、止まったボールは(練習中に)蹴らない」が持論。GKコーチのシジマールがボールを蹴るシュートストップの練習も、必ず近くにボールを出す担当がいます。ピッチ上にボールをセットした状態で蹴るのではなく、パスを受けてシュートを打つスタイルで、ボールは不規則な変化をします。

 確かに試合中、止まっているボールを蹴るのはプレースキックだけ。セットプレーも、選手に当たってシュートの軌道が変わることがほとんどです。そのため、常に実戦を意識して練習メニューを組んでいます。GK三宅貴憲(25)は「選手をよく見てくれているし、ボールを蹴るのがすごくうまい」と話していました。

 毎日、何本もシュートを放ち続けているシジマールのパワーも相当なもの。「たくさん打つのは大変。疲れる」と言いながら、練習が終わるとすぐにタブレットで動画チェック。Jリーグはもちろん、欧州チャンピオンズリーグ(CL)も見ていて、準々決勝のユベントス(イタリア)-バルセロナ(スペイン)戦では、GKブフォン(39)の動きに注目。選手と一緒に動画を繰り返し見て、好セーブを生み出す動きやタイミングを説明していました。

 藤枝が躍進するためには、GKの活躍が不可欠です。シジマールは「GKファミリーみんなでがんばる」と勝利を見据えています。


 ◆保坂恭子(ほさか・のりこ)1987年(昭62)6月23日、山梨県生まれ。埼玉県育ち。10年入社。サッカーや五輪スポーツ取材を経て、15年5月から静岡支局に異動。今年はJ1清水とJ3藤枝の担当。藤枝の行動指針・スローガンは「紳士(紳士)たれ」。チームで金髪なのは、シジマールただ1人です。