国内シーズン最初の公式戦となる富士ゼロックス・スーパー杯も終わり、Jリーグはいよいよ開幕モード。キャンプで分かった課題を洗いだし、各チーム最終調整に入っている頃…だけど、すみません。ちょっとアジア杯を思い出して下さい。

1月24日、決勝トーナメント準々決勝ベトナム戦。MF堂安がビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR=ビデオ判定)によって獲得したPKを自ら決めて1-0で勝利した。

そのゴール後のパフォーマンス、堂安は“師匠”のDF長友と即興で作った胸の前で手をクロスしてピースをするポーズで喜んだ。試合後、長友は「ゴールパフォーマンスは『やろう』と言ってたけど、結局何も決まらなくて。これでいいかって、あの場で決まった」と説明。それから選手は写真を撮る時の決めポーズにこのピースを採用するなど、話題になった。

実はこのパフォーマンス、“先駆者”がいた。UAEでゴールパフォーマンスが行われた後、今季熊本からG大阪に加入したMF田中達也(26)の携帯にメールが届いた。昨季まで田中と同じ熊本でプレーし、今季から韓国の水原へ移籍した北朝鮮代表FW安柄俊(アン・ビョンジュン)からだった。

内容は「あれ、パクられた?(笑い)」と冗談交じりに書かれていた。このパフォーマンス、2人が熊本時代にやっていたもの。元は、安が家族の記念日を思いメッセージを込めたポーズで、次第に田中も一緒にやるようになった。

熊本サポーターの間では「タナタツポーズ」とも言われていたという。田中は「最初はビョン君をちゃかしてまねしていた。でも自分がゴールを決めたら、段々サポーターから求められるようになって、やるようになった」と明かした。

たまたま堂安、長友と同じポーズになってしまったが、熊本サポーターからは「ガンバで点を決めたらやって欲しい」と頼まれているそうだ。もちろん田中も「タナタツポーズ」で喜ぶつもりだが「(堂安と長友を)パクったみたいにならないかな(笑い)」と不安そう…。

なので、一言。堂安、長友と同じゴールパフォーマンスでも、それは「タナタツポーズ」。ぜひ、スタンドのみなさんも一緒に初ゴールを「タナタツポーズ」でお祝いしてみて下さい。【小杉舞】


◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。W杯ロシア大会、今年のアジア杯を現地で取材。担当クラブはG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。