<高校サッカー:鹿児島城西5-2大阪桐蔭>◇2日◇2回戦◇柏の葉

 鹿児島城西(鹿児島)のFW大迫勇也(3年)が2試合連続2ゴールで、得点ランクトップに躍り出た。先制の起点に、2アシストと全5得点に絡み、大阪桐蔭(大阪)を粉砕。初出場の00年度と並ぶ、ベスト16に進出した。

 「大迫の壁」に挑むことに疲れたように、後半開始早々に包囲網がほどけた。後半6分。大迫勇がドリブルでペナルティーエリアに持ち込んで放った、この試合最初のシュートに、GKはパンチングで防ぐのが精いっぱい。前半は2人、3人と張り付いていた相手守備陣が、しなやかな動きに、ついていけなくなっていた。2分後には3人を置き去りにし、今大会初の左足でゴールを決め、後半14分はDFを背負いながらも、素早い反転で2点目をゲットした。

 動きだしは、J即戦力レベルだ。スルーパスに合わせての2得点を見届けた、鹿島の熊谷スカウトは「パスへの反応力、ここに出すだろうと動けるフィーリングが良い。高校からJに来て、一番苦労するのは、フィジカルやスピードでなくフィーリング。彼は今、うちのチームに入っても、すぐに満男(MF小笠原)のパスに合わせられるだろう」と、今春加入する金の卵に手応えを見せた。姉妹校の鹿児島育英館中入学時から指導する小久保監督も「あいつの動きは、日本人らしくない。教えて身に付けられるレベルじゃない」と、天分に舌を巻く。

 得点王候補筆頭の前評判通りの結果にも、大迫勇におごったところはない。「前の試合より起点になれた場面が多かったのは良いが、まだまだ動ける。チームとしても、先制した1分後に同点にされたのは、まずかった」と、自分にも仲間にもダメ出しだ。試合後、鹿島のフラッグを掲げた観客から「大迫くん、待ってるよ!」と大声で激励された。「うれしかった」と一瞬、笑顔を見せたが、すぐに表情を引き締めた。大迫勇の感情の導火線は、日本一まで爆発しないほど長そうだ。【佐藤千晶】