今大会限りで現役を退くINAC神戸のMF澤穂希(37)が、来年11月13日開幕のU-20(20歳以下)女子W杯パプアニューギニア大会に出場する「ヤングなでしこ」の臨時コーチに就任する可能性が出てきた。23日、澤が出場した準決勝INAC神戸-仙台戦を視察した同代表の高倉麻子監督(47)が、日本協会を通じて正式に要請する意向を示した。

 皇后杯準決勝で必死にボールを追う澤を見ながら、ヤングなでしこ高倉監督が“澤臨時コーチ”の構想を明かした。「現役中は厳しかったが、澤には現役に限りなく近い形で世代別代表にも関わってほしい」。来秋にはU-20女子W杯がある。澤や11年女子W杯で初優勝に貢献したGK山郷ら「なでしこOG」の力を借り、プレーや精神面の強化を図りたい意向を示した。

 高倉監督は日本協会を通じて正式に要請したいとし「可能なら一緒に練習でプレーしてほしい。W杯などの貴重な経験を、今まであまり伝えてこられなかったのは、もったいないと思う」と話した。日本協会の野田女子委員長も「いい考えだと思う。監督が要望するのなら、ぜひ実現したい」とバックアップする姿勢を示した。

 高倉監督の意向を伝え聞いたU-19女子代表メンバーも大歓迎だった。日テレMF長谷川は「澤さんとなでしこでプレーすることが目標だった。機会ができれば本当にうれしい。球際の強さ、気持ちの強さを学びたい」。日テレDF清水も「澤さんに1歩でも近づけるように価値観、人間性を吸収したい」と熱望した。

 男女を通じて日本歴代最多の205試合出場83得点を記録するなど、さまざまな澤の経験は日本サッカー界の財産。それを次の世代に伝授するのは本人にしかできないことだ。まずは来秋に世界の舞台に挑む「ヤングなでしこ」に対して、一緒にプレーしながら伝えることになりそうだ。