日本代表DF長友佑都(30=インテルミラノ)が、アジアで圧倒できない危機的状況のチームに警告を発した。明日11日の国際親善試合オマーン戦(カシマ)とW杯アジア最終予選サウジアラビア戦(15日、埼玉)に備えた9日の練習後、主力組には「楽しむ躍動感」、若手組には「若かりし本田&長友の向上心」を課題として言及。自身もケガなどで最終予選は出場しておらず、その悔しさをプレーに込めることを誓った。

 喜怒哀楽を味わって三十路(みそじ)を迎えた長友だからこその言葉だった。井手口や久保らリオ五輪世代のメンバー入りを歓迎しつつ「もっとギラギラしたメンタルを持ってほしい。それが若手を成長させてくれる」と持論を展開した。

 代表デビュー後、北京五輪世代は「W杯優勝」(本田)「世界のストライカー」(岡崎)「世界一のサイドバック」(長友)と公言し、気持ちを鼓舞してきた。「圭佑、オカ、自分たちが上にのぼっていきたいと思っていた時のように、ガツガツやってくれていい」。下から突き上げてほしい気持ちも同居していた。

 ピッチ外から見たことで、うすうす自覚していたベテラン組の変化も、あらためて痛感した。「W杯に行かなきゃいけない重圧を1人1人が感じていると思った。楽しむという勢いが落ちている。怖いものなしみたいな躍動感がないのが寂しい」。自戒の念だった。

 9月の最終予選前に右ふくらはぎを痛めた。10月には温存されたイラク戦翌日の練習に脳振とうでオーストラリア遠征を離脱。「ベンチやテレビで見て、正直悔しかった。こんな思いはしたことがなかったから」。3日の欧州リーグ・サウサンプトン(イングランド)戦でフル出場するなど「もう十分準備できています」。井手口らと並んで走るダッシュは自然と速さが増し、オマーン戦を想定した戦術練習にも力がみなぎった。

 この日、所属のインテルミラノがピオリ新監督就任を発表した。「W杯予選もチームでも難しい状況ですけれど、心の底から楽しまないと。監督交代は8、9人目。慣れました」。代表での活躍はハリルホジッチ監督を救い、クラブの新監督へのアピールにもなる。最強サイドバックが帰ってきた。【鎌田直秀】

 ◆ハリルジャパンの左サイドバック(SB) 先発の左SBは長友が9試合で最多。次いで酒井高の4試合、藤春の3試合と続き、太田と米倉が各2試合、槙野が1試合となっている。W杯アジア最終予選の4試合に限れば、初戦から3試合連続で酒井高が先発。直近の10月11日のオーストラリア戦は右SBの酒井宏が出場停止になったことで、両サイドをこなす酒井高が右に移り、センターバックが本職の槙野が左SBで先発した。