サッカーワールドカップ(W杯)・ロシア大会へと向かう新生・日本代表、西野ジャパンが始動前から野戦病院と化した。20日のJリーグ中断前最後の試合、名古屋グランパス-柏レイソル戦(豊田ス)で柏GK中村航輔(23)が相手と交錯し昏倒(こんとう)。前日19日に右足を痛め緊急帰国したエイバルFW乾貴士(29)に続き連日の悲報。予備登録の35人に、けが人続出。負の連鎖が止まらない。まるで呪われたような西野ジャパンは今日21日に、一部選手が集まり東京近郊で始動する。

 柏の日本代表GK中村は、後頭部からピッチにたたきつけられるよう落下した。屈強な元ブラジル代表FWジョーと交錯。ピクリともしない姿に味方だけでなく、相手選手も慌てて医療スタッフを呼び込む緊急事態。そのまま試合が終わり、担架でピッチを後に救急搬送。愛知県内の病院で精密検査を受けた。クラブは「脳振とう、頸椎(けいつい)捻挫と診断されました。本日は大事を取って入院し、経過を観察してまいります」と発表した。ガーナ戦は絶望的、W杯も微妙になった。

 脳振とうと診断されると、慎重な6段階の復帰プログラムに従いゆっくり練習強度を上げなくてはならず、一気の復帰は望めない。実際、16年10月には練習中に長友が脳振とうで遠征に同行できず離脱している。GKは東口も顔面骨折明けでフェースガードを着用しプレー中。川島も含めた3人中2人が手負いとなると、ガーナ戦に向けメンバー入れ替えも検討しなければいけなくなる。好調の広島林、実績ある浦和西川が候補になる。

 一方で右太もも、大腿(だいたい)四頭筋に痛みを訴え前日19日に帰国した乾は、協会の指示でこの日午前に精密検査を受けた。詳細は不明だが、患部に出血が認められたという情報も。肉離れなら、30日ガーナ戦どころか、W杯にも暗雲が漂う。

 呪われているのだろうか。負の連鎖だ。国際サッカー連盟(FIFA)に35人の予備登録リストを提出が14日。1週間もしないうちに候補がバタバタ倒れていく。今野が右足首のけがで手術が必要となり、続いてガーナ戦メンバー発表日の18日朝に、左ふくらはぎ肉離れの報告を受け小林をリストから外した。19日に乾が緊急帰国し、この日は中村を襲ったアクシデント。ここまで続くかというほど、悪いことばかり。始動前から、けが、けが、けが、けが。負のスパイラルにはまりこんだ。

 そもそも、香川、岡崎、酒井宏ら故障明けで見切り発車の選手が多い。選手を段階的に合流させる西野監督は18日に「25日には全員そろうと予測は立てているが、まだその予測も正確ではない」と心配し、追加招集の可能性にも言及済み。中村の合流は絶望的で、皮肉にもこれが悪い意味で的中する。始動前から西野ジャパンは緊急事態だ。