日本代表MF中村俊輔(29)が25日、代表合宿に合流、いきなり左太もも裏に違和感を訴えた。3連覇を決めた22日のダンディーU戦(アウェー)前に痛めていたもので、26日に検査を受ける。岡田武史監督(51)は27日のキリン杯パラグアイ戦(埼玉ス)で先発を予定しているが、けがが悪化すれば、6月2日のW杯アジア3次予選オマーン戦(日産ス)に影響が出る。使わなければ、同予選はぶっつけ本番…。岡田監督は「究極の選択」を迫られる。

 岡田監督の前に大難題が降りかかった。この日、ようやく合流したMF中村俊が、左太もも裏に故障を抱えていたことが判明した。大黒柱として期待しているだけに「優勝と一緒にケガまで持ってきたんだよ」という自虐的と取れるコメントが、指揮官の苦悩ぶりをうかがわせた。

 ダンディーU戦を4日後に控えた18日の紅白戦で負傷したものだった。中村俊は「ちょっと違和感があって。でも最終戦もやってるから」と重傷ではないと強調したが、この日の練習は別メニューだった。「(帰国後で)体がまだ硬い。練習をやったら患部が悪くなる。最初でつまずいたらまずい。今日は怖いしリスクがあった」。さらに「パラグアイ戦はやっておきたいけど、壊れたら元も子もない」と、オマーン戦に向けた回避まで示唆した。

 それこそ指揮官が頭を悩ませる、最大のポイントだ。6月のW杯予選4連戦に向け、1日でも早く中村俊を実戦で起用しチームに融合させたかった。この日の国士舘大との練習試合も、中村俊の試運転が最大の目的で、朝に急に組んだものだった。その上、国士舘大には「後ろからタックルしないように」とお願いまでしていた。ただその練習試合中、中村俊はピッチ脇で軽くボールを蹴るなど別メニュー調整をしただけ。完全に空振りに終わった。

 患部が重要な個所だけに、今後の中村俊の起用については最大限の配慮が必要となる。岡田監督は「ハムストリングに近いところなので、再発させると長期になる。無理させられない」と慎重な姿勢を見せた。26日にもMRIを含めた検査をし、パラグアイ戦のメンバーも中村俊の様子を見て決めると示唆。中村俊を出すべきか、出さざるべきか…。練習後、無人のゴールに右足でシュートをたたき込んだ指揮官の表情は、苦悩のあまりか硬く引きつっていた。【村上幸将】