岡田ジャパンの窮地に俊輔が立ち上がった。日本代表は30日、W杯アジア3次予選オマーン戦(6月2日、日産ス)に向け、神奈川県内で東海大と非公開で試合形式の練習を実施した。FW大久保が体調不良で、玉田-大久保の2トップ構想が「崩壊」する中、MF中村俊輔(29)は、1トップに入った玉田の持ち味を最大限に生かすイメージを構築。サイドに流れず、ここぞの場面でゴール前に抜け出す動きを玉田に要求した。

 思わぬ誤算にも、百戦錬磨の中村俊は瞬時に「解決策」を見つけていた。東海大戦前半の布陣は玉田の1トップ。2列目には右から中村俊、松井、遠藤が並んだ。

 中村俊は「(オマーン戦で)球はよく回ると思う。そこから誰が飛び出すかだね」。そう言いながらもゴールへのイメージは出来上がっていた。

 中村俊

 タマ(玉田)をどう使うかだね。1トップだからボールが来ないと思うけど、イライラせずに。「絶対、ここだ」というときにスルーパス出たら、タマの方が速いと思うしね。あんまタマは動かなくていいと思うよ。サイドに流れる動き?

 あんましない方がいいと思うね。ずっと待っててダッシュとか、そういうので抜けると思う。

 この日、へんとう炎が悪化したFW大久保が2日連続で練習を回避した。24日のコートジボワール戦で機能し、オマーン戦でも最有力と見られていた玉田-大久保の2トップ構想は事実上崩壊。調子の上がらなかった高原(浦和)も離脱した中、岡田監督が試したのが玉田の1トップだった。

 中村俊は同監督の狙い、期待を敏感に察知。玉田にサイドへ飛び出してのチャンスメークを求めるのでなく、中央でチャンスを待つように求めた。サイドに流れて余分な体力消耗をさせることなく、ここ一番のスルーパスで「スピードスター」の持ち味を引き出すつもりだ。

 キリン杯で遠藤、松井と3人同時に出場できなかったが、2列目の連係にも不安はない。

 中村俊

 松井が真ん中だから、チームでやっているようにサイドに開かせて勝負させてもいいと思うし、時間帯でポジションチェンジするのか、松井とヤット(遠藤)としゃべっていきたい。

 29日にはセットプレーで闘莉王のヘディングを武器にする構想を披露。そして、流れの中では玉田のスピードを最大限に生かす。どんな状況になろうとも、中村俊がゴールへの鍵を握っていることに変わりはない。