<W杯アジア3次予選:日本3-0オマーン>◇2組◇2日◇日産スタジアム

 真のエースだ!

 FW大久保嘉人(25)が、流れを完全に引き寄せる貴重なダメ押し弾を決めた。前半22分、中村俊のロングボールを前線に上がった闘莉王が頭で落とす。完全フリーでボールをもらい、右足で正確にゴール左隅にたたき込んだ。今予選は全3試合に先発し2得点目。抜群の決定力で離脱中の高原の穴を、完全に埋めた。

 「あそこ(前線)に闘莉王がいることにビビッた。フリーだったし『何でこんな時にオレにボールが来るねん』って思いながら走ってた。さすがに外したらヤバいから超緊張したよ」。

 へんとう炎で離脱し、オマーン戦に向けた調整に参加したのは直前の2日間だけ。ドーピングがあるために薬を飲むのは制限され、点滴を打つこともできなかった。まだ万全とはほど遠く、血色も悪い。後半27分には香川と途中交代。思わず「90分やるのはまだ無理。試合中も頼むから早く交代させてくれって思った」と漏らしたほどだった。

 2月6日タイ戦も右ヒザ痛で直前に離脱しながら強行出場し、決勝弾を決めている。「オレは強いチームとか、苦しい時の方が燃えるんよね」。頼りになる男の一発。苦境に立たされた時ほど、力を発揮するのが大久保の真骨頂だ。【益子浩一】