バーレーン戦は生き残りをかけた戦場だ。日本代表は21日、22日のW杯アジア3次予選バーレーン戦(埼玉ス)を前に最終調整を行った。DF安田理大(20=G大阪)は左サイドバックで先発が濃厚だが、最終予選ではDF中田浩も招集濃厚で、ライバルを突き放す絶好の舞台。既に最終予選進出が決定し事実上の消化試合だが、代表デビューが濃厚なMF本田圭佑(22)、J2から選出されたFW佐藤寿人(26)らとともに岡田監督の心をつかむために持てる力を出し切る。

 安田の目の色が変わった。バーレーン戦は事実上の消化試合で、相手は出場停止を含めて4人以上の主力を外してきた。緩んだ空気を一蹴するかのように、安田はこの日の公式練習で山瀬とロングボールを入念に確認。いつもはムードメーカー的な役割だが、笑顔を封印して臨戦態勢を整えた。

 生き残りをかけた戦場だ。最終予選では鹿島に復帰した中田浩、現在は故障離脱中だが豊富な運動量で岡田監督の信頼をつかんだ長友らと左SBを争うことになる。さらに左右のSBをこなす駒野もいる。安田は「今は(中田浩と長友ら)ライバルがいないけど、やらなアカン。2人との差を離されたらダメやし(定位置争いに)食い込んでいかないとね。刺激は受けているし、個人的には特徴を出したい」と言い切った。

 岡田監督は「最終予選の初戦をいい状態で迎える選択肢を増やしたい」という。安田は守備面で不安があるため、A代表では攻撃的MFで起用されてきたが、SBでも使えるメドが立てば選手層に厚みが増す。目標の10年W杯も見据え「代表としての心構えは常にある。必死にやる」と力を込めた。

 練習では真剣そのものだが、ピッチを離れるといつもの安田節も飛び出した。この日の調整内容を問われると「非公開やしなあ。オレは(内容を)言っちゃいそうやから、もう聞かんといて。そういうの弱いねん」と言いながらも「日本らしいサッカーをしたらいい」と真剣な顔に戻った。消化試合にはさせない-。安田が怖いほどの本気モードに突入した。【益子浩一】