<国際親善試合・キリン杯:日本4-0チリ>◇27日◇長居

 MF本田圭佑(22)が代表初ゴールをマークした。

 最後まで、本田だけはゴールに飢えていた。3点リードの後半ロスタイム。山田からのラストパスを左足で優しく決めて、国際Aマッチ3試合目で初ゴール。「本当に優しいパスやった。18歳やけど、山田は思いやりがあるね」。金髪の「海外組」は、高らかに笑った。

 前半20分には左足でミドル弾を打ち、岡崎の先制弾につなげた。その後も積極的に仕掛け、高いキープ力も生かし、攻撃にリズムをもたらした。

 オランダ2部で目覚めた。36試合で16得点を挙げ、2部MVPの勲章を引っさげて代表に復帰。前所属の名古屋や北京五輪代表ではFKのキッカーやパサーとして注目されていた。しかし、生存競争が激しく自己主張の強い異国で「サッカーに対する価値観が根本的に変わった」。ミニゲームでも1対1を挑み、徹底した個の力でゴールを狙う執念に感化され“怖い選手”に生まれ変わった。

 一方で、変わらない魅力も。試合後の取材にはとにかく雄弁で、この日も最後まで「本田節」を響かせた。「時計は片手なんてだれが決めたん?」という理由で続ける両手首に高級腕時計をはめる“本田スタイル”も、そのままだった。

 この日プレーした岡田ジャパンの右MFは中村俊の定位置だが、左の大久保や松井はコンディションに不安を残す。左も難なくこなす本田は間違いなく日本の新たな武器となる。生まれ故郷・大阪でのゲーム。試合後は父と昨年結婚した新妻を伴い、実家に戻った。「たまには実家でゆっくりとね」。故郷に錦を飾った男は胸を張って帰路についた。【八反誠】