日本サッカー協会は27日、都内のJFAハウスで9月の親善試合に臨む日本代表メンバー23人を発表した。

 監督選出で混迷を深める日本代表に、一筋の光が差し込んだ。9月4日の親善試合パラグアイ戦、同7日のグアテマラ戦で、浦和MF細貝萌(24)がA代表に初招集された。W杯南アフリカ大会で大活躍し、海外移籍目前のMF阿部勇樹(28)に代わってチャンスを得た。

 この日午後からの代表メンバー発表に細貝は「あのような素晴らしいメンバーの中に選出して頂いて光栄に思っています」とクラブを通じてコメントを発表した。28日にホームでの鹿島戦を控えるだけに、短い言葉で目前の戦いに集中する決意を表した。

 尊敬する先輩から多くを学んできた。8月中にも浦和から英2部レスターへ移籍するMF阿部について「普段の練習からすごい。自分も目指したい存在」と話す。前に上がるタイミングやポジショニングを身近で観察した。「阿部を今回呼べなかった。このポジションをやれるとしたら細貝だろう。中盤の守りで伸びている」と監督代行の原強化担当技術委員長から、阿部の後継役として高く評価された。

 各年代の代表に選出されながら、チームではなかなか出場機会を得られなかった。入団2年目の06年は浦和がリーグ優勝を成し遂げ、翌年はアジア制覇を果たすなどチーム内の競争が激しかった。それでも08年の北京五輪予選、本大会に選出された。本大会は3戦全敗で出場も1試合のみだったが「日本一のクラブで練習している」という自負を持って取り組んできた。

 運動量には強いこだわりがある。昨年は左サイドバックで定位置をつかんだが、今季はボランチを勝ち取った。「動けなくなったら代えてもらうだけ」。攻守にわたって常に全力で戦う姿勢をフィンケ監督は評価している。必要とあれば最終ラインに下がってまで相手を追い掛け、1回でもルーズボールに負ければ反省を口にする。オフの日も練習場で汗を流すほどの努力を積み重ねてきた。

 28日の鹿島戦には小学校時代の恩師と、児童25人を自費で招待した。大事な一戦に向け「がつがつ行って流れを引き寄せたい」と気合十分。日本代表初招集後の初戦。4年後の代表入りに向けて、かつての恩師に成長した姿を披露する。【加納慎也】