死のC組突破へ、日本サッカー協会が、10月7日に国内で中東勢との親善試合を計画していることが1日、分かった。7月30日のW杯組み合わせ抽選結果を受け、協会は緊急強化マッチの必要性を認識。10月11日のシリア戦(長居)直前に、中東勢との親善マッチは最高の強化につながるため、今後、イラク、UAEなどと交渉に入る見込みだ。

 日本協会が重い腰を上げた。10月7日に中東勢との強化試合実施を本格検討に入った。イラクとUAEの中東勢が最有力候補。その2カ国との交渉が不調に終わった場合に備え、オマーンも視野に入れている。

 当初、日本協会は「韓国戦が年内の最後の強化試合」(原技術委員長)とし、10月7日の国際Aマッチデーでの試合は外していた。しかし3月11日の大震災で3月の親善試合2試合が中止され、南米選手権も出場辞退。W杯3次予選で死の組に入ったことから、急きょマッチメークに踏み切る状況になった。

 優勝した1月のアジア杯(ドーハ)では、中東勢に苦戦した。ザッケローニ監督は大会期間中に「中東の守りを固めてカウンターの戦法は初めて経験した。もっとパススピードを上げないと対応は難しい」と、中東特有の戦い方を警戒。半年以上立ち、戦術確認の好機を得た。

 10月7日は公式マッチデーのため、強化試合を組み込めば、欧州組の早期招集が可能になる。本番のシリア戦まで1週間以上の合宿ができ、戦術確認や意思統一ができる。シュツットガルトFW岡崎が「時差ぼけの完全解消まで1週間はかかる」というように、欧州組のコンディション調整にも大きなプラスになる。

 日本協会は今年、Aマッチに関し、試行錯誤を繰り返した。地震直後、指揮官がいち早く母国イタリアに帰国する一方、日本協会は「安全面は問題ない」とし、ニュージーランド代表を呼ぼうとして断られ、やむなくJ選抜戦を組んだ。南米選手権も海外クラブと本格交渉できず、辞退した。

 ベテランMF遠藤保仁は「W杯予選は、どんな相手でも怖い。格下相手でも『何』が起こるか分からない。その『何』かを起こさないために、普段の調整が大事になる」と、準備の必要性を訴えた。今年は後手後手に回ってきた日本協会だが、ここから先の準備不足は許されない。