<東日本大震災復興支援チャリティーマッチ:なでしこジャパン3-2なでしこリーグ選抜>◇19日◇国立

 なでしこの花が、真夏の国立競技場に愛らしく咲いた。2トップの一角として先発出場したMF川澄奈穂美(25=INAC)は、1点リードで迎えた前半18分、右サイドを突破したFW丸山のパスをフリーで受けると、豪快に右足ダイレクト。降りしきる雨を切り裂き蹴りこんだ。前半はFWとして、後半は右MFとして、ところ狭しと小さなストライドで動き続けた。

 試合後、何重にも待ちかまえている報道陣の前に、157センチの小柄な選手がちょこんと現れた。恥ずかしそうな笑顔で、「丸山さんがいいパスをくれました。点を取ることは、次につながります」。

 肌寒い中でも、なでしこの花はしゃんと立っていた。ドイツW杯から帰国し、なでしこリーグ戦3試合に出場しながら無得点。この日の得点はW杯準決勝のスウェーデン戦以来、約1カ月以上ぶりだった。「リーグ戦で決められていなかったので、よかったです。テレビの中継もあったので」。エヘヘ、と笑った。

 その笑顔は、1番人気を誇る。合宿中の公式練習でも、「川澄~!」とひときわ大きな声援を受けていた。なでしこジャパンユニホームの襟元のピンクに合わせ、髪ゴムもピンク。頬もピンクに染めながら、「今日は間延びしている時間帯もあった。修正していかないといけない」。そのギャップが、何よりの魅力だ。

 帰り際には、「がんばれ!日本」と入った国旗の小旗をリュックのサイドポケットに差し込み、弾むような足取りでスタジアムを後にした。【保坂恭子】