【済南(中国)6日=鎌田直秀】なでしこジャパンの北朝鮮キラーFW安藤梢(29=デュイスブルク)が大一番へ、闘志をかき立てている。過去、北朝鮮戦5戦3発の実績を誇る安藤は「何度も対戦している。自信を持って戦える」と、メンタル面を含めた充実ぶりをアピール。なでしこジャパンは、ロンドン五輪最終予選を3連勝し、勝ち点9で単独首位。同7で2位の北朝鮮との8日の大一番に勝てばロンドン五輪出場が決まる。またチームはこの日、MF沢ら前日の先発組は宿舎内で調整し、安藤ら控え組は済南オリンピックスポーツセンターで約1時間、練習を行った。

 FW安藤に復活ゴールのにおいが漂ってきた。この日の練習でも、攻守の切り替えでのターンの鋭さ、短いダッシュでの出足の良さ、動き全般に余裕と、自信がみなぎった。

 8月下旬、所属先のドイツから直前合宿地岡山に合流した時は、明らかに調子は下降気味。それが、ようやく戻ってきた。

 安藤

 岡山の時はドイツから戻って時差ボケもあり体調が良くなかった。中国では調子は上がっている。

 安藤の持ち味は圧倒的な運動量にある。前線から常に全力でチェイシングし、相手の攻撃の起点を脅かしてきた。その本来の動きを取り戻しつつある。

 佐々木則夫監督(53)の評価も急上昇。岡山合宿からここまで「安藤はW杯に比べたら半分くらいのコンディション」と不満顔が、「調子は上がっていますよ。ドイツの時までは来ていないけど期待できる状態」と、復調ぶりに注目している。

 このタイミングで復調したことが、何よりも重要だ。チームにとって大きな収穫だ。過去5戦3発と、北朝鮮戦では無類の相性の良さを誇る。

 安藤

 北朝鮮は運動量が多く、球際が激しい。気持ちの戦いになる。そこを前面に出さないといけない。それは私の持ち味でもある。(点が取れないのは)もちろん悔しく思っている。取りたいとは思うけど、焦らず結果を出していきたい。体で押し込むくらいの気持ちでいきたい。泥臭くてもいい。自分の仕事をする中で、ゴールも決めたい。

 すでに北朝鮮のビデオを何度も見て長所、短所はしっかり分析している。

 安藤

 センターバック2人のスピードがそんなにないので、そこを突きたい。みんなで、ここで決めようという話はしている。

 禁止薬物違反で主力5選手が長期出場停止中だが、北朝鮮はそうした弱みを見せない戦いぶりを見せている。

 精神的に強い北朝鮮相手には、安藤を筆頭とした「気持ち」でぶつかる。高いスピリッツに、復調したフィジカルが同調した時、安藤のパワーは頼もしい力になる。復活安藤が、五輪出場への大きな推進力になる。