<W杯アジア3次予選:日本8-0タジキスタン>◇C組◇11日◇大阪・長居スタジアム

 1トップは俺だ。日本代表FWハーフナー・マイク(24=甲府)が代表初先発初ゴールを決めた。前半11分、圧倒的な高さからヘディングで先制点を決めると、後半2分にも頭で得点。194センチの高さを見せつけた。清水GKコーチの父ハーフナー・ディド(54)から代表戦でのマリーシア(ずる賢さ)も学び、精神面でも成長した。ここまで1トップを固定できていないザックジャパンに、最高の答えが見つかった。

 恐らく日本最高到達点のヘディングだろう。前半11分。MF中村がボールを持って前を向くとハーフナーは左手を上げて自分の位置をアピールした。ボールがDF駒野にわたりクロスが送られると助走をつけてジャンプ。3メートル近い打点でゴールを決めた。「いいボールが来たので入れるだけでした」と振り返った。

 ザックジャパンに足りなかった1トップが見つかった。長らく磐田FW前田が務めていたが、ケガもあり6月1日のペルー戦を最後に出場がない。ノバラFW森本も代表から遠ざかっている。FW李もザックジャパンでのフル出場は3試合。初めてピッチで聞いた君が代にハーフナーは「やばかった。鳥肌が立った」と話していたが、落ち着いたプレーでサイドからのターゲットになった。これまでの代表にはない高さで攻撃の幅を広げた。

 代表戦の厳しさは、9月6日のウズベキスタン戦で知った。後半20分から出場。ファーサイドに流れてヘディングを放ったハーフナーは相手ともつれるように倒れた。後日、父ディドに連絡した。

 マイク

 引っ張られた。ファウルだったよ。

 ディド

 それは違う。相手のファインプレーだ。きれいなプレーではない。代表の試合は泥くさいし、汚いプレーだってあるんだ。

 欧州カップ戦を戦った父は、国を代表するクラブとして、けが人が出るほどの激しいファイトを経験した。自分の150%を出さなければならない。そのためにはマリーシアを楽しめるくらいでなければならない。そう教えられた。

 後半2分には、またも駒野からのボールに合わせ2点目。横浜時代には3メートル5センチのバスケットゴールにつるしたボールをヘディングする身体能力テストで、ただひとりリングを頭が越える跳躍を見せたほど。相手がかなうわけもない。

 同4分に退くとザッケローニ監督らとハイタッチ。初先発で一発回答したハーフナーは「やっとここまで来た。(ハイタッチは)よくやったという感じだった」と明かした。待望の1トップを見つけた日本代表が新たなスタートを切った。

 ◆日本代表の国際Aマッチ最長身ゴール

 Jリーグが開幕した93年以降の日本代表では、194センチのハーフナー・マイクが最長身のため、この日の2得点が「最長身ゴール」となる。それに続くのがFW平山相太(東京・国際Aマッチ通算3得点)の190センチ、DF吉田麻也(VVV・同2得点)の189センチ。Jリーグ開幕前では190センチのFW松浦敏夫(NKK・同6得点)がいる。また、Jリーグ開幕前の92年のキリン杯に194センチのFW高本詞史(東芝)が招集されたが、出場はなかった。

 ◆ハーフナー・マイク

 1987年(昭62)5月20日、広島県生まれ。父親はオランダ人で現清水GKコーチのハーフナー・ディド。93年に日本国籍取得。札幌U-15、横浜ユースを経て、06年横浜トップチームに昇格。同年U-18日本代表に選出される。08年に福岡に期限付き移籍。横浜復帰後の09年途中に鳥栖に期限付き移籍。10年から甲府に完全移籍し、J2得点王(20得点)となりJ1昇格に貢献。11年9月2日のW杯アジア3次予選の北朝鮮戦で代表デビュー。194センチ、86キロ。