オマーンは恐るるに足らず-。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(59)が、W杯アジア最終予選初戦(6月3日、埼玉)で対戦するオマーン撃破を誓った。29日は埼玉県内で非公開調整。敵国の情報収集に自信を見せた指揮官は「相手を怖がるようなことは(今後)1度もないだろう」と強気。初戦白星で弾みをつけ、14年W杯ブラジル大会への扉を開く。

 まるで自分自身に暗示をかけているようだった。嵐を予感させる黒い雲が空を覆い、小雨が降り始めた時。非公開調整を終えたザッケローニ監督が、練習場から出てきた。鋭い目線には、揺るぎない信念があった。強い口調で自らに言い聞かせるように、最終予選の初戦で対戦するオマーンについて強気な言葉をした。

 「明日から、オマーン戦に向けた詳細を詰めていくことになる。対策を練るための情報量はある。映像も手に入っている。相手を怖がるようなことは、全くない。リスペクトはしていますが、怖がるようなことは(今後)1度もない」

 かつて日本を率いたジーコ元監督が言ったように、W杯予選は「いばらの道」だ。楽に勝てる相手は1つもない。現にオマーンには前回大会の3次予選でホームで3-0と快勝しながら、敵地では大苦戦して1-1の痛み分けに終わっている。本田、香川ら攻撃陣が充実しているとはいえ、相手にはプレミアリーグ・ウィガンで活躍するGKハブシもいる。引いて守られた場合、攻略できるのか-。ザッケローニ監督は、不安要素を打ち消すかのように「怖くない」と2度言った。

 「大切なのは、日本がメンタル、フィジカル面において、いい状態で臨むこと。最終予選で簡単な試合が1つもないことは、想定内。相手次第というよりは、うち(日本)次第だ」

 「怖くない、怖くない」-。そう言う一方で、指揮官が神経質になっているのは明らかだ。欧州組は23日の親善試合アゼルバイジャン戦後、1日の休養を経ただけで、25日からぶっ通しで合宿に入った。10日間休みなし。しかも練習はほぼ非公開にし、日本側の情報漏れを徹底している。敵国分析を済ませ、今日30日からは本格的なオマーン対策に入る。ザック監督にとって初のW杯予選。いよいよ真の戦いが、始まる。【益子浩一】