来月の日本代表欧州遠征はW杯ブラジル大会の“模擬テスト”となる。アルベルト・ザッケローニ監督(59)は14日、海外組視察のため渡欧。出発前の成田空港で、10月12日のフランス(フランス)、16日のブラジル(ポーランド)の強豪2連戦は、新戦力のテストではなく、現メンバーでのサッカーが「トップレベルにどれだけ通用するか」の、世界での“偏差値”確認となることを強調した。アジア最終予選残り4戦中3戦は苦手なアウェーでの戦い。フランス戦は、敵地の雰囲気も体験できる貴重な場となる。

 ザッケローニ監督が来月の欧州遠征を、攻撃サッカーの腕試しの場と位置づけた。フランス、ブラジルとW杯優勝チームとの連戦。「我々のスタイルやプレーのアイデアは定まってきている。アジアレベルでは十分通用する。それが世界トップレベルでどれくらい通用するのか、相手に効くのかを見てみたい。戦い方を変えざるを得ないのか、変えなくても渡り合っていけるのかを確認したい」。狙いは明確だ。

 就任から約2年。守備では3バックなどを試しつつも、攻撃はトップ下に本田を固定した。香川、岡崎らを中心に積極的に点を奪いにいく姿勢を貫いてきた。今までも「W杯でも、これが日本のサッカーだというものを見せたい。相手がどこだからといって変えるのではなく」と強調してきた。理想を掲げ続けるか否かのテストとなる。

 ブラジルは、ホスト国として迎えるW杯で6度目の優勝を目指す。フランスも10年南アフリカ大会では内部分裂で1次リーグ敗退したが、今予選はデシャン監督の下、一致団結し上々のスタートを切っている。

 フランス戦は苦手アウェーの予行演習でもある。3勝1分けの勝ち点10で首位ターンした最終予選は、残り4戦中3戦が中東アウェー。過去の敵地勝利は明らかに格下のタジキスタン戦のみ。「オーストラリア、北朝鮮、ウズベキスタンには行ったが、我々はアウェー経験は皆無に等しい。アジア杯もセントラル。中東チームはホームで熱い声援を受けると高いテンションになる。やりづらい」。日本と同組のオーストラリアもヨルダンに敗れた。厳しい条件での試合が続く。その意味では念願かなったアウェー戦だ。

 14日、海外組視察のため渡欧した。11日のイラク戦を腰痛で欠場した香川の状態も懸念材料。週明けの欧州CLから、各国のリーグ戦を含めて確認する予定。2年後の本大会で結果を残すための“実力テスト”に向け、期待感いっぱいの笑顔で旅立った。【鎌田直秀】