オレたちには、世界一しか頭にない。日本代表DF長友佑都(26=インテルミラノ)が3日、チームに合流したMF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)と2人きりで密談。「周りに笑われても関係ない。圭佑と目指すところはまったくブレないんで」と熱く語り、2人の目標を「W杯優勝」として意思統一したことを明かした。W杯出場がかかるオーストラリア戦に備え、チームにある精神面の「緩み」を引き締めた。

 長友は無表情だった。決戦のピッチ、談笑しながら体を動かす選手もいる中で、長友は黙々と最終調整に取り組んだ。ミックスゾーンでは、顔を少し高揚させていた。呼び掛けられ、立ち止まって笑みを浮かべたが、話し出すと語気はみるみる強くなった。「もう言い訳は許されないんで」と切り出すと、今日のオーストラリア戦に向けた胸中を語り出した。

 長友

 (本田)圭佑とは、夢や目標というところで目指す方向性が一緒なので。周りに、あいつら熱すぎなんじゃないかとか、笑われても関係ない。目指すところはまったくブレないんで。僕らが引っ張らないで、誰が引っ張るんだという気持ちでいます。

 この日帰国した本田とは、宿舎で再会。昼食の席で一緒のテーブルに座ると、2人きりで熱く意見を交わし合ったという。それは、他の選手を寄せ付けないほど白熱したものだった。「夢」「目標」については、長友はあえて口にはしなかったが、それは本田が普段から公言する「W杯優勝」にほかならない。「込み入った話をしたかったけど、疲れてるようだったんで」と本田を気遣った。

 長友は、本田も感じていたチームの「気の緩み」をずっと抱いている。5月30日の親善試合ブルガリア戦でも、その不安は0-2という結果になって現れた。長友は怒りの表情で試合後のミックスゾーンを無言で通り過ぎた。この日も「多少は引き締まったと思うけど、ぬるい空気は流れている」と言った。

 チームに、心の底から世界制覇を目指す意思を浸透させたい。独り善がりだ、とチーム内で冷たい視線を浴び、内部分裂する恐れもある。それでも構わない。長友の言葉には強い決意が込められていた。

 W杯予選後には、W杯本番を見据えたコンフェデ杯が控える。万全な形で迎えるためにも勝ってW杯出場を決める必要がある。「世界で勝つには、まずは明日勝たないといけない」。並々ならぬ決意でピッチに立つ。【由本裕貴】