<ゴン魂&秋田塾

 炎の対談第3回>

 日刊スポーツ評論家の元日本代表FW中山雅史氏(46)と同DF秋田豊氏(43)のコラボ企画「ゴン魂&秋田塾

 炎の対談」最終回は、チームのまとめ役について。98年フランス大会で主力だった2人は、02年日韓大会で“ベテラン枠”として選出。2人だからこそ分かるチームをつなげる役割、人材とは。【聞き手=盧載鎭、高橋悟史、栗田成芳】

 02年日韓大会、ベンチを盛り上げ、引き締めたのが中山、秋田両氏だった。10年南ア大会ではGK川口能活が招集された。ベテランが躍進の支えとなった。チームをまとめるのは、ベテランなのか、日本人コーチなのか、それともピッチに立つ選手なのか。

 ゴン

 年齢からいったら、遠藤選手。でもキャラ的にね。本田選手が強烈な個性を持っているから、本田選手が中心になるのかな。

 秋田

 フランス大会の時は、ヒデ(MF中田英寿)が言いたい放題言って、僕らも言い合ってましたよね。ヒデからは「うるせーバカ」とか言われましたもんね。

 ゴン

 そんなこと言ってたの?

 秋田

 守備は、中盤の選手がこっちの言っていることをやってくれないと、守れないですから。ヒデに言っても「は?」って返すんで。フランス大会の時は、小島さん(GK小島伸幸)が、サブの選手のストレスをうまく抜いてくれてたように感じました。

 ゴン

 ハット(MF服部年宏)も紅白戦で「いいイメージを持たせよう」と言っていたらしい。

 秋田

 トルシエの時は紅白戦をやりませんでした。だから練習試合で、かなりテンションが高かったですもんね。

 ゴン

 紅白戦がないだけに(日韓大会期間中の)静岡産大との練習試合は、選手たちにとってプレW杯だったから。

 秋田

 一体感は大事ですよ。短期間で11人だけでは戦えません。23人の登録メンバー中3、4人くらいは出られないこともあります。でもサブの人のモチベーションが低かったら、絶対に勝てません。いい状態でテンションを下げないようにやってましたよね。

 ゴン

 声を出すのも、サブの方が「ここやらなきゃどうしようもないでしょ?」って出しやすい。レギュラーが言っても「お前ら試合出てるから」って思われがち。実際にそういうのはなかったけど、サブは自由に言える。秋田なんて、(日韓大会の)試合中はアップもやってないよね。ずっとベンチで、次の日の別メニューでガーッとやることで締めていた。

 秋田

 明るくですけどね。

 ゴン

 暗くなったら終わりだなと。サブの方がストレスがたまってきつくなってくる。

 秋田

 ガス抜きができる人が1人いるといいですよね。

 ゴン

 厳格じゃない人がいい。聞き役になれて「そんなこと言うなよ」って言える人。

 秋田

 岡田さんがコーチの時はそういう役目をやってましたからね。昔は加茂監督(元日本代表監督)の下で「岡ちゃん何やってんの~?」とか言ってたら、次の日から監督になりましたから。

 ゴン

 加茂監督の95年、キリン杯で招集された時。ウオーミングアップで「走るぞ」って言ってる岡田さんを、カズさんがいきなりスライディングで転ばせているから、え~!?って。そこまでする?って思ったもん。

 現代表で、盛り上げ役をやれる選手はいるのか。

 ゴン

 盛り上げるのもそうだけど、ギラギラしてるやつがいてもいい。

 秋田

 僕ね、出られない時はゴール裏でずっと走ってました。使ってくれよって思いながら。

 ゴン

 サブでも同じくらい走れば、次の試合の準備になる。(日韓大会)ロシア戦はアップで走りすぎてダメじゃないかってなったけど。(後半27分から)出場して、爪あとはイエローカードで残しておいた。サブのほうが大変だよ。出られないいらつきを整えるのが難しいから。(いらつきを和らげてくれる人材が)コーチかサブで必要なのは確かだと思う。

 選手同士で意見をぶつけ合うことは必要だが、登録メンバー23人と監督をはじめとするスタッフのベクトルは、同じ方向でなくてはならない。ベテラン選手か、それともコーチなのか。潤滑油になれる存在は不可欠だ。(おわり)